概要
脊椎カリエスとは、結核を原因として引き起こされる病気のひとつであり、背骨に生じた病変のことを指します。病気の進行によって背骨がもろくなり、しびれや麻痺、排尿・排便障害などの症状を引き起こす可能性がある状態です。
脊椎カリエスは病気の診断そのものが難しいこともありますが、後遺症を残さないためにも早期に治療することが重要です。
原因
脊椎カリエスは、結核を原因として発症する病気です。結核は空気感染する病原体であるため、結核罹患者などから病原体が気道を通して体内に取り込まれることで、感染が成立します。
結核は主に肺に病変を形成しますが、血液やリンパの流れに乗って全身各所に移動することもあります。そのなかで、脊椎に運ばれることもあり、このことから脊椎に病巣が形成されると脊椎カリエスの発症に至ります。
ステロイドの使用や糖尿病の罹患などは、脊椎カリエス発症の危険因子といわれています。
症状
脊椎カリエスは脊椎に病変が生じる病気であるため、腰や背中の痛みが生じます。細菌による化膿性骨髄炎よりも症状が軽く、進行も緩やかです。また、一般的な結核の症状として、微熱や疲れやすさ、体重減少や咳などがみられることもあります。
脊椎カリエスでは、病変が進行した際の合併症にも注意が必要です。結核の病変が拡大すると脊椎がもろくなり、骨が破壊されることがあります。その結果として、背骨が曲がることもあります。
さらに、背骨の中には脊髄と呼ばれる神経の束が存在しています。骨の破壊に伴って脊髄が障害を受けることがあり、しびれや麻痺、排尿障害、排便障害などの症状が出現することがあります。
どのような神経症状が出現するかは、障害を受ける神経の部位に応じて異なります。
検査・診断
脊椎カリエスでは、病変が疑われる骨のレントゲン写真やCT検査、MRI検査といった画像検査が行われます。特にMRI検査の感度は高く、神経との位置関係も含めて詳細に確認することが可能です。
また、脊椎カリエスでは病巣に結核菌が存在していることを証明するための検査も行われます。具体的には、病巣部から一部組織を採取し、培養検査や病理検査などの検査を行います。
また、血液検査で結核菌の検索を行うことや、肺結核を伴う場合には喀痰を用いた検査や胸部単純レントゲン写真なども検討されます。
治療
脊椎カリエスは、結核によって引き起こされる病気であるため、結核に対して効果のある薬を用いて治療を行ないます。
治療薬の使用が長期化することや、腎機能障害、聴力障害、視力障害、手足のしびれなどの副作用が懸念されることもあります。そのため、治療薬の使用の際には効果判定だけでなく、定期的な副作用の有無をみる検査も行います。
また、手術的な介入をすることで局所の病変に対処することもあります。神経障害や骨格の変形がみられることもあるため、装具の着用なども検討されます。
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