ひぞうそんしょう

脾臓損傷

別名
脾損傷
最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

脾臓は左上腹部にある臓器で、胃や左の腎臓に接するような位置に存在しています。脾臓損傷は脾臓に交通事故などによる外力が加わることで起こり、激しい痛みを生じたり、外傷が高度な場合は脾臓周囲の血管が傷つき大量出血を起こしたりする可能性があります。

以前は脾臓のはたらきについて詳しくわかっていなかったため、脾臓損傷を起こした場合は脾臓摘出することが一般的に行われていました。しかし、近年脾臓の免疫学的な機能が明らかになってきており、脾臓摘出をした場合に感染症が重症化する危険性があるため、なるべく脾臓温存を心がけます。腹部外傷のなかでは肝臓などとともに発症頻度が高い臓器です。

原因

脾臓損傷の原因は左上腹部に対する外傷です。具体的には、交通事故や高所からの転落による外傷がもっとも多いといわれています。しかし、2~3段程度の階段からの転落や転倒、蹴られるなどの打撲も脾臓損傷の原因になりえます。

症状

左上腹部を中心とした痛みを伴います。また放散痛(ほうさんつう)として左肩に痛みが生じる場合もあります。

損傷の程度が高度な場合は、脾臓の実質や脾動脈(ひどうみゃく)の損傷により腹部内へ大量出血をきたす場合もあり、この場合は血圧低下や意識障害などの出血性ショックの状態となります。

検査・診断

まず血圧や呼吸の状態など全身状態の評価が大変重要です。状態が落ち着いているのであれば腹部造影CTを行い出血や損傷の程度を評価します。ただし損傷初期には、はっきりと確認できないこともあり、時間をおいて腹部超音波検査やCT検査を追加で行いフォローアップすることが必要です。

治療

血圧などのバイタルサインが安定していれば腹部CT検査で損傷の程度を評価し、出血がない、あるいは軽度であれば保存的な治療を考慮します。しかし損傷後の遅発性破裂の可能性もあるため、腹部超音波やCT検査などで厳重なフォローアップを必要とします。

バイタルサインが安定している場合でも腹部CT検査で脾臓周囲に血管障害が認められた場合はカテーテルによる血管内治療を行います。出血が止まらない場合や血圧が不安定な場合は手術により脾臓摘出が考慮されます。

脾臓摘出後は免疫能低下による重症感染症や、血小板増多症などの合併症の危険性があります。特に脾臓摘出後の重症感染症は致死率が高いため、肺炎球菌ワクチンの接種など感染予防に努めることが必要です。

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