疾患啓発(スポンサード)

腰椎椎間板ヘルニアの症状や原因とは――若い世代から高齢者まで注意が必要な病気

腰椎椎間板ヘルニアの症状や原因とは――若い世代から高齢者まで注意が必要な病気
伊藤 全哉 先生

あいちせぼね病院 院長

伊藤 全哉 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアは、20~40歳代の方に多くみられ、人口の約1%の方が患っているといわれるほど身近な病気の1つです。自然治癒することも多いといわれる腰椎椎間板ヘルニアですが、放っておくと治療をしたときに回復しにくくなる可能性もあるため、早期診断・適切な治療介入が重要です。今回は、あいちせぼね病院 院長である伊藤 全哉(いとう ぜんや)先生に、腰椎椎間板ヘルニアの概要や検査などをお伺いするとともに、さまざまな治療選択肢を備える同院の治療についてお話を伺いました。

PIXTA
(イラスト:PIXTA)

体を支える役割を果たす脊椎(せきつい)(背骨)は、頚椎(けいつい)・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨で構成されていて、そのうち腰椎(腰の骨)に生じるのが「腰椎椎間板ヘルニア」です。骨と骨の間にはクッションの役割をする椎間板(ついかんばん)があります。その内容物が何らかの原因で飛び出て、神経を圧迫することで腰椎椎間板ヘルニアの発症につながります。20~40歳代が好発年齢とされており、小児や高齢者では少なくなります。

主な症状として、腰痛をはじめ臀部(でんぶ)(お尻)や脚の痛み、しびれがあり、特に中腰の作業で症状が現れる傾向にあります。また、重いものを持つと痛みが強くなるケースもみられます。症状が進行すると足に力が入らなくなったり、つまずきやすくなったりすることもあります。

腰椎椎間板ヘルニアの原因は普段の生活などが影響しており、重いものを持ち上げたり、悪い姿勢で作業をしたりすることによる腰への負担が影響します。全身に振動を受ける職業や時間に余裕がない労働環境、喫煙習慣や喫煙量が腰椎椎間板ヘルニアの発症に影響を与えるという報告もされています。重労働ではなくても、長時間同じ姿勢でいることなどが原因になる可能性もあります。

まず問診で病歴や発症するまでの経緯、症状をお聞きします。

「痛みがいつからあるのか」、「どこに痛みがあるのか」、「どのようなときに痛みが出現するのか」など、症状の確認に加え、下半身の筋力や感覚を検査するほか、脚を真っすぐにして挙上できるか(SLRテスト)など、腰椎椎間板ヘルニアと関連のある所見を精査します。これらの身体所見とMRIなどの検査画像から総合的に確定診断を行います。

腰椎椎間板ヘルニアでは、足に症状が出現することも多くありますが、痛みの出現する場所は「どの神経が圧迫されているか」によってある程度決まっているため、特に下半身の症状については丁寧に聞き取り、圧迫されている神経に見当をつけます。

足の痛みの原因には複数あり、筋肉痛というケースもあります。筋肉痛の場合は足を押すと痛みがありますが、神経が原因となっているケースでは押しても痛みはなく、その場合は神経痛、すなわち腰椎椎間板ヘルニアなどによる痛みだと考えられます。

当院では痛みが発生するメカニズムにも着目しています。その違いによって、適切な治療方法も変わってくるからです。主に「椎間板による神経の圧迫」「神経周囲との癒着」「神経の炎症または機能低下」の3点に注目し、何が原因となっている痛みなのかを判断するため患者さんから生活の様子をお聞きするように心がけています。併せてMRI検査で神経など体の細かい部分も確認して、体の状態に合わせた治療方法をご提案します。

腰椎椎間板ヘルニアの治療には、保存療法(手術以外の治療)と手術があります。

保存療法には薬物療法や神経ブロック注射、理学療法などさまざまな選択肢があります。ほかにも患部に電気や超音波を使用する物理療法や、コルセットなどを使用する装具療法もあります。

ヘルニアは半数以上が自然に消退(小さくなること)するとされているため、治療はまず保存療法から開始します。

保存療法などで改善がみられない場合は手術を検討します。手術ではヘルニアを切除することで、神経の圧迫を解除します。

当院では、可能な限り早期診断・早期治療介入ができるよう、MRI検査装置を4台導入(2025年5月時点)しており、スタッフと医師が連携し、迅速な検査と治療の提供に努めています。

また、当院ではレントゲンを使って行う「レントゲン透視下ブロック注射」も実施しています。この方法は痛みの原因となる神経などを確認しながら麻酔薬を注射することで、より正確性を高めた治療が実施できます。その日にすぐ行えるよう準備を整えていますので、受診いただいた当日に実施することも可能です。

保存療法を行っても症状の改善がみられない場合には手術を検討しますが、当院ではできるだけ患者さんの体への負担を減らした手術をかなえるため、内視鏡手術を積極的に実施しています。従来、脊椎手術は背中を大きく切開する必要がありましたが、内視鏡という医療用の細い筒状の器具を使用する“内視鏡手術”が開発されたことで、体への負担を減らした治療が可能になりました。当院ではこの内視鏡手術に注力しており、臨床はもちろんのこと、国内外の学会への参加・発表も活発に行っています。

内視鏡手術には複数の術式がありますが、椎間板ヘルニアに対しては、主にMED(内視鏡下腰椎椎間板摘出術)やPELD/PED(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)という術式で治療を行います。MEDは直径16mmの手術器具を使用し、飛び出たヘルニアを切除することで神経の圧迫を解除する手術です。2cmほどの傷口で処置が可能なため早期の回復が期待でき、ひいては早期社会復帰を目指すことができます。

PELD/PEDは、MEDよりさらに細い約7mmの内視鏡を使用した手術です。局所麻酔で可能な手術のため、基本的に当日に歩行が開始でき、翌朝には退院いただけます。当法人では、特にPELD/PEDの実績が多く、年間で300件以上*実施しています。どのような術式が適しているかは患者さんによって異なりますので、腰椎椎間板ヘルニアでお悩みの方はまず一度ご相談ください。ご自身に適した治療で、一緒に痛みを改善していきましょう。

*医療法人 全医会におけるPED/PELDの実施件数:397件(2023年度(2023年4月~2024年3月)実績)

一般的なMEDも十分に低侵襲(体への負担が少ない)な術式ですが、脊椎の治療を専門とする当院では独自に開発をした手術器具を使用することで、さらなる低侵襲化(ていしんしゅうか)を図っています。MEDについては、通常の内視鏡よりもさらに直径が小さい10mmの内視鏡を使うことで体への負担をより軽減することが可能です。この特殊な器具を使用する場合は自費診療*となりますが、「より小さな傷口で治療がしたい」という方や、「できるだけ早く退院したい」などという方はぜひご相談ください。

*費用:140万円(税抜)。左記の金額には、治療当日の診察料や施術料、入院費用、ほか材料費、術後診察費用(3か月目まで)が含まれます。手術は1回に限定します。基本的な入院期間:2泊3日。保険診療の術式と異なり、有効性・安全性が認められた治療ではありません。主なリスク:術部への菌付着による感染、神経損傷、術後血腫(術後の出血が神経を圧迫する)、血栓症など。独自の医療器具については当院が開発したものであり、医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医療機器です。欧米各国その他の諸外国において承認されている国がないため、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。国内においては承認されている医療機器はありません。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

先に述べたとおり、腰椎椎間板ヘルニアは日常生活の動作が原因となります。言い換えれば、日ごろの生活や運動習慣を改善することで、病気を予防することも可能です。できるだけ中腰姿勢を避け、姿勢に気を付けるなど、腰に負担をかけない生活を送りましょう。

腰椎椎間板ヘルニアは自然に治る可能性のある病気ですが、神経が圧迫された状態が長く続くと手術をしても治りにくくなってしまうことがあります。腰の痛みやしびれなど何か気になる症状がある場合には、一度整形外科を受診し、検査を受けていただきたいと思います。当院では、脊椎ドック*も実施しておりますので、症状に悩まれている方は遠慮なくご相談ください。

*脊椎ドック:自由診療となります。頚椎・胸椎・腰椎コースの3コースがあり、各コース55,000円(税別)です。ほかオプション検査もあり。体内に医療用の金属がある方や妊娠中の方などは受けられる検査が限られることがあります。

受診について相談する
「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    「腰椎椎間板ヘルニア」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    本ページにおける情報は、医師本人の申告に基づいて掲載しております。内容については弊社においても可能な限り配慮しておりますが、最新の情報については公開情報等をご確認いただき、またご自身でお問い合わせいただきますようお願いします。

    なお、弊社はいかなる場合にも、掲載された情報の誤り、不正確等にもとづく損害に対して責任を負わないものとします。

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
    実績のある医師をチェック

    腰椎椎間板ヘルニア

    Icon unfold more