ようついついかんばんへるにあ

腰椎椎間板ヘルニア

最終更新日:
2024年09月27日
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2024/09/27
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2022/09/27
更新しました
2017/04/25
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概要

腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアとは、背骨の腰部の骨(腰椎)と骨の間にある椎間板が飛び出すことによって神経を圧迫する病気です。椎間板は背骨の衝撃を吸収するクッションの役割を果たしており、これにより背骨がスムーズに動きます。腰椎椎間板ヘルニアの主な原因は、加齢による椎間板の変性で椎間板の内容物が背中側に飛び出すことで発症します。このように本来体内にあるべき組織が外に飛び出してしまうことをヘルニアといいます。このヘルニアが腰椎の中を通る神経を圧迫し、さまざまな神経症状を引き起こします。

この病気は20~40歳代の男性に多くみられます。発症すると、腰、お尻、太もも、ふくらはぎなどに痛みやしびれが生じ、重症化すると歩行が困難になることもあります。また、排尿や排便に関わる神経がダメージを受けると、これらの機能が低下することもあります。

多くの場合、安静を保ち、コルセットの装着や薬物療法などの対症療法で回復します。しかし、症状が強い場合は神経ブロック注射などの追加治療が必要になることがあります。これらの保存的治療で改善が見られない場合や症状が特に重い場合には、手術療法を検討することもあります。

近年では、注射のみでヘルニアを縮小させる椎間板内酵素注入療法も新たな選択肢として注目されています。治療法の選択に際しては、ヘルニアの形態や症状に応じて、適切な方法を医師と相談のうえ決定することが重要です。

原因

腰椎椎間板ヘルニアは、腰部の骨と骨の間(腰椎と腰椎の間)にある椎間板という柔らかい組織が変性し突出した一部が、脊柱管(せきちゅうかん)(神経の通る空間)の中を走行している神経を圧迫することで発症する病気です。

椎間板が突出する原因は多岐にわたります。椎間板の組織は20歳代から徐々に変性していくことが分かっています。加齢による変性の結果として椎間板の外郭(線維輪)の断裂が生じ、椎間板の中身(髄核(ずいかく))がはみ出すことが主な原因とされています。そのほか、腰に負担がかかる中腰姿勢での長期間の作業や、重い荷物の持ち運びなども発症の要因として知られており、喫煙が発症率を上昇させるとの報告もあります。

症状

腰椎椎間板ヘルニアの症状は、突出した椎間板の位置や大きさによって大きく異なります。

多くは腰やお尻に痛みが生じ、突出した椎間板に圧迫された神経側の太ももやふくらはぎに放散するようなしびれと痛みが引き起こされます。痛みやしびれの程度は神経の圧迫の強さなどによって異なりますが、非常に強いケースも多く、歩行や睡眠に支障をきたすケースも少なくありません。ヘルニアが自然に消失する場合は、およそ3か月で症状が改善していくといわれています。

しかし、神経の圧迫が強い場合は自然に症状が改善することは少なく、足に力が入りにくくなる、筋力が低下するといった症状が引き起こされ、痛みを避けるために不自然な体勢を続けることで脊柱が横に曲がった状態(疼痛性側弯(とうつうせいそくわん))になることもあります。

また、突出した椎間板が大きい場合は馬尾神経と呼ばれる神経が多数圧迫され、頻尿や残尿感、尿閉、便失禁などの症状を引き起こすことがあります。

検査・診断

腰椎椎間板ヘルニアが疑われるときは以下のような検査が行われます。

身体所見

腰椎椎間板ヘルニアを発症すると、痛みやしびれのあるほうの足を伸ばしたまま上にあげたときお尻や腰に痛みやしびれが放散する反応がみられます。このような身体所見を調べる検査を“下肢伸展挙上試験”と呼び、腰椎椎間板ヘルニアを発症しているか否かスクリーニングする際に行われます。

そのほか、足の感覚や筋力低下の有無も調べることが一般的です。

画像検査

腰椎椎間板ヘルニアの確定診断には、MRI検査で椎間板の突出や神経の圧迫を確認する必要があります。また、骨の異常の有無などを調べるためX線検査(レントゲン検査)やCTなどの画像検査が行われることも少なくありません。

治療

腰椎椎間板ヘルニアの治療は、症状の程度や患者の状態に応じて段階的に行われます。一般的に、保存的治療から始まり、必要に応じて椎間板内酵素注入療法や手術療法が行われます。

保存的治療

通常、まず保存療法から治療が開始されます。これは腰椎椎間板ヘルニアが自然に回復することも多いためです。保存療法には以下のような方法があります。

安静

過度の活動を控え、腰部への負担を軽減します。

装具療法

コルセットなどの装具を使用して腰部を固定し、椎間板にかかる負担を軽減します。

薬物療法

非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)や筋弛緩薬、ビタミンBなどを使用して、痛みや炎症、しびれを緩和します。痛みやしびれが強い場合は神経障害性疼痛に適応があるプレガバリン、ミロガバリンが有効です。

理学療法

痛みが落ち着いた後、温熱療法、低周波治療、ストレッチ、筋力トレーニングなどが行われます。

神経ブロック療法

薬物療法で効果が不十分な場合や、痛みが強い場合に検討されます。痛みの原因となっている神経の周囲に局所麻酔薬を注射し、症状を軽減します。仙骨硬膜外ブロックや神経根ブロックがあります。

椎間板内酵素注入療法

比較的新しい治療法で、保存的治療と手術療法の中間的な位置づけです。ヘルニアのある椎間板にコンドリアーゼという多糖分解酵素を直接注入し、ヘルニアを縮小させます。これにより神経への圧迫が改善し、痛みやしびれが軽減されます。この治療法は、従来の手術に比べて体への負担が少なく、回復が早いというメリットがあります。また、局所麻酔で行えるため手術と比較して入院期間も短期間です。ただし、適応となるヘルニアの種類や、実施可能な医療機関には制限があります。

手術療法

手術によってヘルニアを切除し、神経の圧迫を取り除く治療法です。主に腰部の皮膚を切開し、顕微鏡や内視鏡を使用して椎間板まで到達し、直接ヘルニアを除去します。3か月以上症状が続く場合や、筋力低下、排尿・排便障害などの強い神経症状がある場合に検討されます。

予防

腰椎椎間板ヘルニアの大きな原因は加齢ですが、姿勢の悪さや腰に負担がかかる長時間の作業なども発症の原因になります。そのため、発症を予防するためには腰に負担がかかる作業を避け、正しい姿勢を保持することが大切です。

また適度な運動を習慣的に行い、体幹や四肢の筋力、柔軟性を保つことも効果があります。

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