概要
膀胱頸部硬化症とは、何らかの原因によって膀胱頸部(膀胱の出口部分)が硬くなることで排尿障害を起こす病気です。主に男性が発症します。
前立腺の手術後などに発症することがあり、膀胱頸部が硬くなり出口が狭くなることで、頻尿や残尿感といった排尿障害がみられるようになります。
排尿障害は泌尿器などのさまざまな病気で起こるため、膀胱鏡検査や膀胱造影検査などを行い、膀胱頸部が狭く硬くなっていることを確認するとともに、排尿障害を主訴とするほかの病気でないことを確認します。治療は内視鏡治療が中心で、内視鏡を用いて狭くなっている部分を切って広げます。
原因
膀胱頸部硬化症は、前立腺疾患の治療後(前立腺肥大症に対して行われる経尿道的前立腺切除術など)の合併症として起こることがあります。
経尿道的前立腺切除術においては手術で用いたカテーテルや機器によって膀胱頸部が圧迫され、浮腫(余分な水分が体内にたまった状態)や虚血(血液がうまく流れない状態)が起こることで膀胱頸部硬化症が生じます。同じメカニズムで尿道狭窄を起こすこともあり、尿道狭窄と合わせて発生率は約10%といわれています。
症状
人によって症状は異なりますが、膀胱頸部が狭く硬くなることによって頻尿や残尿感、尿が出るまでに時間がかかる、排尿に時間がかかるなどの症状がみられます。
また、尿意切迫感(我慢できないほどの強い尿意が突然生じる)、切迫性尿失禁(尿意切迫感を我慢できず漏れてしまう)、夜間頻尿(就寝中トイレのために1回以上起きる)が現れることもあります。
検査・診断
膀胱頸部硬化症を診断するには、症状が似ているほかの病気(前立腺肥大症・前立腺がん・神経因性膀胱・尿道狭窄など)との鑑別が重要となります。
そのために膀胱鏡検査や膀胱造影検査などを行い、ほかの病気ではないことを確認しつつ、膀胱頸部が狭く硬くなっていることを確認できれば膀胱頸部硬化症と診断されます。
膀胱鏡検査
膀胱鏡という膀胱内を見るための専用の内視鏡を尿道から膀胱内に挿入し、内視鏡先端のカメラで膀胱内を観察します。
膀胱造影検査
膀胱鏡やカテーテルなどを尿道から膀胱内に挿入し、造影剤という体内の様子を分かりやすく描出する薬を用いて膀胱の画像を撮影します。
治療
膀胱頸部硬化症の治療は内科的治療と外科的治療があり、基本的には外科的治療が中心となります。
内科的治療では、排尿を助ける薬が用いられます。外科的治療では内視鏡を尿道から挿入し、内視鏡の先端についているナイフで狭くなっている部位を切開して広げます。
手術後の再狭窄予防には柴苓湯がよく用いられます。
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