治療
炎症性膵嚢胞と腫瘍性膵嚢胞では治療法が大きく異なります。
炎症性膵嚢胞
急性膵炎が原因の場合、急性膵炎の治療として膵臓を安静に保つために絶飲食を行い、点滴で必要な栄養を補給します。また、慢性膵炎の場合は禁酒・禁煙を行います。腹痛に対して、鎮痛薬や消化酵素のはたらきを抑えるタンパク分解酵素阻害薬などの薬が処方されることもあります。
腫瘍性膵嚢胞
腫瘍性膵嚢胞は、その大きさや症状、悪性化のリスクに応じて治療方針が決定されます。膵嚢胞が小さく、無症状で良性の場合は経過観察を行います。しかし、腫瘍が大きくなっている場合や腹痛などの症状が現れた場合、あるいは悪性と診断された場合や悪性化の可能性が高い場合には、膵嚢胞を含めた膵臓の切除手術を検討します。
手術方法は主に腹腔鏡下手術と開腹手術の2種類があり、膵嚢胞の状態に応じて選択されます。腹腔鏡下手術は、腹部に数か所の小さな穴を開け、先端にカメラが内蔵された腹腔鏡と呼ばれる手術器具を挿入して行う低侵襲な手術方法です。この方法は、膵嚢胞が比較的小さく、周囲組織への浸潤*がない場合に選択されます。腹腔鏡下手術のメリットとしては、傷が小さいため術後の痛みが少なく、回復が早いことが挙げられます。
一方、開腹手術は腹部を大きく切開して直接膵臓にアプローチする従来の手術方法です。膵嚢胞が大きい場合や進行したがんの場合に選択されます。
*浸潤:腫瘍が発生した部位から周囲の組織に広がること。
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