概要
臀部慢性膿皮症とは、お尻から大腿部にかけた広い範囲に細菌感染を起こし、さまざまな皮膚変化を生じる病気を指します。化膿性汗腺炎と呼ばれる病気に包括される疾患で、中年男性に多く発症します。膿が排泄されたり、痔瘻形成を合併したりすることもあります。
範囲が狭く軽症の場合には、抗生物質や局所的な切開排膿、瘻孔切除などで治療します。病変が広がってしまった場合には、皮膚を広範囲に切除して、植皮する手術が選択されることがあります。
原因
臀部慢性膿皮症は、皮膚に存在するさまざまな器官に、黄色ブドウ球菌や大腸菌などさまざまな細菌が感染することで発症する病気です。職業柄長時間座る、局所が湿潤である・不潔である、といった環境要因も、発症に関与すると考えられています。その他にも免疫学的要因や先天的要因など、多彩な因子が発症に関与しています。
臀部慢性膿皮症は、日本において1977年に提唱された疾患概念です。病気の発症様式としては化膿性汗腺炎と共通する点も多いです。また、実際には臀部以外にも皮膚変化を見ることがあります。これらのことから、化膿性汗腺炎に包括して考えられることも多いです。
症状
臀部慢性膿皮症では、お尻から大腿部、陰部、肛門周囲における広い範囲に特徴的な皮膚変化が現れ、痛みを伴います。皮膚は褐色の色素沈着を示し、全体的になめし革のように硬くなります。
皮膚の下には膿が溜まっている部分もあり、皮膚の外に悪臭を伴う膿が出てくる場合もあります。さらに、肛門周囲に病変が生じることと関連して、痔瘻形成を伴うこともあります。まれではありますが、病気の経過中にがんを発生することもあるため注意が必要です。
検査・診断
臀部慢性膿皮症では、局所病変の膿や組織を用いて培養検査を行います。培養検査を行うことで、病気に関与する細菌の同定並びに抗生物質の効きの善し悪しを判断します。
また、組織の一部を採取して顕微鏡により詳細に評価する病理学的な検査を行うこともあります。がんが発生することもあるため、がんの有無を評価する目的もかねます。
化膿性汗腺炎として臀部に病変を見る際には、遺伝子異常を原因として発症していることもあります。病歴や家族歴などから遺伝性が疑われる際には、遺伝子検査も検討します。
治療
臀部慢性膿皮症では、病変の広がりなどをもとにして治療方針を決定します。範囲が狭く軽症の場合には、抗生物質や局所的な切開排膿、瘻孔切除などで対応します。
しかし、病変が広がってしまうと、こうした治療では完治が難しいこともあります。その際には、皮膚を広範囲に切除して植皮する手術が選択されることもあります。
がんの発生母地になることが懸念される場合にも、疑わしい病変部位を切除することになります。その他、状況に応じて免疫抑制剤や抗TNF-α剤の投与なども検討されます。
病気が進行すると徐々に皮膚病変が広がり、より難治性になります。そのため、疑わしい皮膚変化を臀部に見た際には、早い段階で病院を受診してより早期に治療を受けることが大切です。
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