治療
良性脳腫瘍は通常、急激に大きくなったり他部位や他臓器に転移を生じたりすることはありません。近年では脳ドックなどを受ける人が増えてきたため、それらの機会に偶然発見されるケースも多々あります。このようなケースで特に症状がない場合は、治療を行わず定期的に検査を行って経過を見ていくことも少なくありません。
一方、何らかの症状がある場合は治療を行うのが一般的で、多くは手術による良性腫瘍の摘出が行われます。しかし、体力的に手術に耐えられないケース、脳の奥にできた腫瘍で手術を行うと周辺の脳や神経にダメージを与えてしまう可能性があるケースなどでは、放射線治療が行われることもあります。また、近年では脳内に内視鏡を挿入して腫瘍の切除などを行うことができる“神経内視鏡”も普及しており、良性腫瘍に対しても広く用いられています。
良性脳腫瘍の治療において大切なことは、脳の機能温存を最優先に考えて治療方針を検討することです。良性脳腫瘍は全摘出により完治することが期待できますが、必ずしも安全に全摘出ができるとは限りません。全摘出によって脳の機能が障害される恐れがある場合には手術治療では部分的な摘出に留め、残った腫瘍を放射線で治療するなど、集学的治療が検討されることもあります。
なお、良性脳腫瘍は一度摘出すると再発することはほとんどありませんが、まれに取り切れなかった腫瘍の組織が大きくなって再発することもあるので、治療後も経過観察が必要です。
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