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若年発症型両側性感音難聴

最終更新日:
2018年12月14日
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2018/12/14
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概要

若年発症型両側性感音難聴とは、ACTG1などの遺伝子異常を原因として、40歳までの方に発症する難聴のことを指します。病名から推察されるように、若年発症型両側性感音難聴では左右両方の耳の聴こえが低下します。

日本においては難病指定を受けた病気のひとつで、難聴を抱える患者さんのうち約1%前後が、この病気が原因とされると報告されています。ただし、指定難聴の対象は聴こえのよい耳の聴力が平均(500、1000、2000Hz)で70dB以上の方のみになります。

若年発症型両側性感音難聴は、現在までのところ、根本的な治療方法が確立されていません(2018年11月時点)。病気は徐々に進行することが多く、症状にあわせて補聴器や人工内耳の適応が検討されます。

生活の質を少しでも担保できるよう、対応策をとることが重要な病気です。

原因

若年発症型両側性感音難聴は、遺伝子異常を基盤として発症すると推定されています。原因となる遺伝子としては、ACTG1遺伝子、CDH23遺伝子、COCH遺伝子、KCNQ4遺伝子、TECTA遺伝子、TMPRSS3遺伝子、WFS1遺伝子の7つがこれまでに挙げられています。原因となる遺伝子に応じて、発症年齢に違いがあったり、聴こえの影響が生じる周波数に違いがあったりすることも知られています。

ただし、具体的にどのようなメカニズムで発症に至るかについては完全には明らかにされていません。さらに、そのほかの遺伝子異常の関与も推定されています。

また、若年発症型両側性感音難聴は、原因遺伝子によっては遺伝性が問題となることがあります。

症状

若年発症型両側性感音難聴は、40歳未満までに、左右両方の耳の聴こえが徐々に悪くなります。複数の原因遺伝子がこれまでに同定されていますが、遺伝子異常に応じて症状が異なる場合もあることが報告されています。

たとえば、ACTG1遺伝子異常に関連した難聴の場合は、特に高音領域での音の聴こえに支障が生じやすいことが知られています。その一方、TECTA遺伝子、WFS1遺伝子に関連したものは、それぞれ中音域、低音域での難聴がみられやすく、さらにCDH23遺伝子を原因とする場合には、全音域で音の聴こえに障害がみられやすいといった傾向が知られています。

また、COCH遺伝子異常に伴う若年発症型両側性感音難聴の場合には、難聴以外にめまいを伴うことがあります。

若年発症型両側性感音難聴では、上に挙げたような症状が、年月を経て徐々に進行することが知られています。

検査・診断

客観的に、どの音域の音がどの程度聞こえないかを判断するために、標準純音聴力検査を行います。若年発症型両側性感音難聴では、耳の聴こえが徐々に低下することを確認することが大切です。ただ、一度の検査では診断できず、定期的に聴力検査を行い、難聴の進行を確認する必要があります。標準純音聴力検査は耳の聴こえの重症度を客観的に評価するためにも利用されます。

また、若年発症型両側性感音難聴の原因を調べるために、原因の項目で挙げたような遺伝子の検査を行います。両側性感音難聴の原因には本疾患以外にも、外傷、薬剤、大音量の環境、感染などがあり、これらの原因を除外するために病歴(原因薬剤の使用歴がないかどうかや、職業環境の評価など)を詳細に問診したり、血液検査、CT検査などの検査が行われたりすることもあります。

治療

若年発症型両側性感音難聴では、現在までのところ、根本的な治療方法の確立には至っていません(2018年11月時点)。そのため、聴こえの程度に応じて、対応策を適宜とることが重要です。

難聴は進行するため、補聴器や人工内耳の適応などが検討されます。

耳の聴こえが低下することで、日常会話や仕事上におけるコミュニケーションなどに多大なる支障が生じることが予想されます。そのため、生活の質を少しでも担保するために、必要に応じた筆談や手話の利用なども検討されます。

なお、若年発症型両側性感音難聴では、親子間で遺伝することもあるため、遺伝カウンセリングの導入も検討されることがあります。

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