さんしょくせいかくまくかいよう

蚕蝕性角膜潰瘍

最終更新日:
2018年09月12日
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2018/09/12
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概要

蚕蝕性角膜潰瘍(さんしょくせいかくまくかいよう)とは、難治性、進行性の角膜潰瘍です。角膜潰瘍の多くは、角膜にできた傷から細菌感染が生じることが原因となりますが、蚕蝕性角膜潰瘍の場合、どのようなメカニズムで発症するのか不明です。自分自身の免疫が角膜を異物と認識して攻撃してしまうことによるものとの考え方が有力ですが、今なお明確には解明されていません。

蚕蝕性角膜潰瘍では、潰瘍が角膜の周辺部から全周性に広がり、角膜の辺縁から中心部に向かって食い込むように侵食していくのが特徴的です。治療法は確立されておらず、失明に至ることもある深刻な病気のひとつです。

原因

蚕蝕性角膜潰瘍の明確な発症メカニズムは解明されていません。しかし、自己免疫の異常によって、リンパ球を始めとした免疫細胞が、角膜上皮を異物と認識して攻撃することが原因であるとの説が有力です。

また、蚕蝕性角膜潰瘍では病変部周辺での角膜や結膜のコラーゲンを分解する酵素の活性が上昇していることが多く、この酵素が過剰に産生されることが角膜潰瘍を進行させるとの報告があります。

症状

突然、角膜の辺縁部分から全周性に三日月のような形の潰瘍を形成するのが特徴です。潰瘍が生じた角膜と隣接する白目部分には重度の充血が生じ、非常に強い目の痛みを感じたり、光が異常にまぶしく見えたりすることがあります。

潰瘍は辺縁部位から徐々に中心部に向かって、角膜に食い込むように広がっていきます。発症直後、視力障害はほとんどみられませんが、潰瘍が広がって角膜の球面構造が崩壊すると、屈折異常による強い乱視が急激に現れ、視力が徐々に低下します。

さらに進行すると、潰瘍ができた部位の角膜が非常に薄くなって孔が開き、失明に至ることもあります。

検査・診断

目の痛みや充血、視力の異常などを自覚して病院を受診すると、細隙灯顕微鏡による角膜の観察や視力検査、眼底検査などの一般的な眼科的検査が行われます。

蚕蝕性角膜潰瘍は非常に特徴的な潰瘍を形成しますが、ウェゲナー肉芽腫関節リウマチなどでも似た所見を生じることがあり、鑑別のために血液検査が行われます。また、眼脂や潰瘍部の擦過物の培養検査により感染性角膜潰瘍を否定する必要があるケースもあります。

治療

自己免疫疾患の一種であると考えられていることから、一般的な自己免疫疾患と同様にステロイドの内服治療が行われます。また、免疫抑制剤の点眼が有効との報告もあり、広く用いられています。しかし、効果は人によって大きく異なり、ステロイド大量療法などを行っても進行を止められないケースも多々あります。

治療法は確立されていませんが、潰瘍周囲の結膜組織を切除すると潰瘍の進行が止まることがあります。また、重症な場合には、潰瘍と周辺の結膜組織を切除し、その部位に角膜上皮と上皮幹細胞を移植する角膜上皮形成術が行われることがあります。

しかし、これらのさまざまな治療を行っても効果が得られないことも多いです。

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