治療
認知機能障害の治療は、原因となる病気や状況によって異なります。認知症の場合は、認知機能障害の薬物療法や認知機能のリハビリテーションを組み合わせた治療が行われます。脳血管障害の場合は、再発予防の治療と日常動作の機能回復訓練が重要となります。うつ病や統合失調症の場合は、抗精神薬などを用いた薬物療法や認知機能のリハビリテーションが行われることがあります。薬剤性の場合は、原因となる薬剤の調整や変更が必要となります。
認知機能のリハビリテーション
認知機能改善のためのアプローチには、“認知適応法”と“認知矯正法”があります。患者によってどのような認知機能が弱まっているのか、反対にどのような認知機能は正常なのかといった具体的な症状は異なるため、個人個人に合わせて適切なリハビリテーションを行うことが重要です。
認知適応法
認知適応法は、障害されている認知機能を補うために代替の手段を取るアプローチです。たとえば、覚えておかなければならないことをメモして持ち歩く、作業手順を見える場所に貼っておくなどの方法が考えられます。
認知矯正法
認知矯正法は、認知機能そのものの改善を目指すリハビリテーションです。具体的なトレーニング方法にはさまざまなものがあります。例としては、筆記具またはコンピュータでドリルを解く、特殊なルールのしりとりを行うなどのリハビリテーションが挙げられます。
薬物療法
認知症における薬物療法は、認知機能障害の進行を遅らせ、患者の生活の質を維持するために行われます。主に使用される薬剤には、コリンエステラーゼ阻害薬とNMDA受容体拮抗薬があり、記憶力低下や判断力減退といった認知機能障害の進行を抑制する効果があります。近年、早期のアルツハイマー型認知症や軽度認知障害(MCI)に対しては、従来と異なる治療法としてレカネマブが注目されています。この薬剤は、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβを直接除去することで、病気の進行を抑えます。そのほか、統合失調症に伴う認知機能障害に対する新薬の開発も進んでおり、今後の治療選択肢の拡大が期待されています。
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