症状
進行性核上性麻痺の特徴的な症状は、病気の初期の段階から転びやすくなるということです。これは、神経系に形態学的な病変部位を認める部位に関連した症状であり、姿勢を保つ反射的な要素が減弱するからと考えられます。
また、こうした反射的な要素以外にも、周囲に対する注意力が低下することや危険を察知する能力が低下するためでもあります。さらに、進行性核上性麻痺では、初期から垂直方向への眼球運動ができなくなるので下方向のものを見にくくなるという特徴もあります。
下の方を見づらくなるということは、足下を確認しづらいということを意味しており、転倒のしやすさを助長する要因になります。転倒を繰り返すことから、外傷を起こすこともまれではありません。また、特に誘因もなく突然車いすから立ち上がり転倒につながることもあります。
進行性核上性麻痺では、パーキンソニズムと呼ばれる症状を現すことも特徴です。パーキンソニズムとは、パーキンソン病でも認めるような、筋固縮、運動緩慢、姿勢保持障害をみることです。しかし、パーキンソン病のそれとはやや異なる点もあります。パーキンソン病では前傾姿勢をとりながら歩行することが典型的ですが、進行性核上性麻痺では首が硬くなり後屈するようになるため、やや後ろのめりになることが多いです。
さらに、構音障害によるしゃべりにくさや、言葉の不明瞭さを伴うこともあります。病状が進行すると、嚥下機能にも異常を認めるようになり、誤嚥性肺炎を繰り返すようになります。また、前頭葉の機能障害も認めるようになるため、無気力や無関心といった症状も現すようになります。
進行性核上性麻痺では、上記に述べたような症状がさまざまな程度で現れます。どの症状が前面に出るかによっても病状が異なることも知られています。
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