原因
鉤虫と呼ばれる寄生虫によって引き起こされる病気です。鉤虫にはさまざまな種類が存在しますが、人にとって特に問題となるのはズビニ鉤虫やアメリカ鉤虫、犬鉤虫などです。これら鉤虫の虫卵は温暖かつ湿潤な土壌などの環境中において、1〜2日ほどで孵化します。幼虫は、さらに5〜10日ほど経過すると人に対しての感染性を示すようになります。この間に鉤虫で汚染された土に触れて皮膚を通過し寄生するか、鉤虫で汚染された食べ物を調理不十分な状態で経口摂取することで感染します。
皮膚から人の体内に入り込んだ鉤虫は、血液の流れに乗って肺へと運ばれます。肺を突き破った鉤虫は気道系の末梢側から中枢側へと運ばれ、飲み込まれることで消化管内へと移ることになります。また口から直接、消化管に感染して寄生することもあります。消化管に移り込んだ鉤虫はさらに成虫へと成熟し、卵を産むようになります。
虫卵は排泄物と共に環境中へとばらまかれ、土や食べ物などが汚染されます。さらに虫卵は環境中で孵化し、次なる寄生先を待ちながら環境中で生息することになります。なお、消化管内の成虫は壁にくっつき無治療のままでは年単位に渡って生息しますが、これに際して消化管出血を引き起こし、特徴的な貧血症状をもたらすことになります。
一方、虫体が体のなかに入りこみ、アレルギーのような症状をきたすことも知られています。犬鉤虫では、幼虫が皮膚から感染し、鉤虫自体は死んでしまいますが、皮膚爬行症(虫にそった細長い皮疹や痒みを生じる)などを生じ、生きている間は移動することもあります。若菜病では、鉤虫に汚染された若菜の浅漬けを食べたあとに、アレルギーの機序によると考えられる嘔吐、咽頭の痒み、喘息発作を起こします。
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