概要
難治頻回部分発作重積型急性脳炎とは、発熱に伴いけいれん発作を繰り返す指定難病、小児慢性特定疾病のひとつです。けいれん発作の頻度は1〜2週間程でピークに達し、その後も数か月にわたってけいれん発作が持続します。けいれんを止める効果のある抗てんかん薬を使用しても発作を止めることが難しい点が特徴です。
この病気は、幼児期から学童期の子どもに起こりやすいといわれています。また、男女ともに発症する可能性があります。
原因
難治頻回部分発作重積型急性脳炎の原因はわかっていません。現時点では、ウイルスなどの異物に対してはたらく体の免疫反応が関係して脳に炎症が生じると考えられています。また、病気が遺伝する可能性は通常ないと考えられています。しかし、遺伝子や感染症も含め原因については解明されていない点が多く、研究が続けられています。(2018年5月時点)
症状
病気を発症して間もない急性期では、発熱の数日後から、1日に数10回〜数100回のけいれん発作を繰り返します。けいれんは、顔面など上半身で起こることが多いです。けいれん発作が起こっているとき、多くの場合、患者さんは意識を失っています。
けいれん発作の頻度は1〜2週間程でピークに達します。しかしその後も、数週間〜数か月間、頻回なけいれん発作が持続します。急性期を過ぎた慢性期でも、急性期ほど頻回ではありませんが、けいれん発作を繰り返します。知能の低下や手足の麻痺が現れることもあります。
検査・診断
発熱とけいれん症状の確認
難治頻回部分発作重積型急性脳炎を診断するための診療では、主に発熱とけいれんの症状が確認されます。発熱の数日後から顔面や上半身を中心としたけいれん発作が起こり、1日に数10回~数100回と頻回に繰り返すことが特徴です。
さらに、けいれん発作を止めるために通常の量の抗てんかん薬を注射しても効果がなければ、この病気が疑われます。
似ている病気との鑑別
血液や脳脊髄液の検査、脳波の測定やMRIなどの検査が行われます。検査を通して似ている他の病気と鑑別した上で、この病気と診断されます。
治療
難治頻回部分発作重積型急性脳炎では、主にけいれん発作を強力に抑える治療が行われます。
抗てんかん薬による治療
急性期には、大量の抗てんかん薬を静脈に注射する治療が行われます。治療は集中治療室で全身を管理しながら行われます。副作用や知能への影響を考慮し、けいれん発作が一旦止まった後は薬の量は徐々に減らされていきます。
けいれん発作が落ち着いたら、飲み薬による治療が行われることが多いです。慢性期には、多種類の抗てんかん薬の中から、患者さんそれぞれに効果のある薬を探しながら使用されます。
ケトン食療法の導入
けいれん発作を抑えるためにケトン食療法が行われることがあります。ケトン食療法とは、食事のなかで糖質や炭水化物を減らし、主に脂肪でエネルギーを補給する治療法です。このケトン食療法には、けいれんを抑える強い効果があることがわかっています。
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