びーえぬしーてぃー

BNCT

(ホウ素中性子捕捉療法)

最終更新日:
2023年12月11日
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2023/12/11
更新しました
2021/11/10
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概要

BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)とは、ホウ素と中性子を利用してがん細胞を選択的に破壊する治療法のことです。頭頸部がんの治療に用いられます。

BNCTでは、がん細胞に取り込まれたホウ素と中性子が反応して生じる核分裂エネルギーを利用してがん細胞を破壊します。放射線の一種である中性子線を照射しますが、中性子線はエネルギーが小さいため、またホウ素と中性子の反応が影響する範囲は細胞1つ程度ととても小さな範囲なので正常な細胞にはダメージが起こりにくく、体への負担が少ないといわれています。また、複数回の照射が必要になる従来の放射線治療に比べて、通常は1回の照射で治療が完了することが特徴です。

治療に必要な中性子線については、以前は原子炉から発生したものを利用して臨床研究が行われていましたが、病院に併設可能な加速器ベースの照射システムが開発され、その中性子線を用いた臨床試験が世界に先駆けて日本で行われました。そして、2020年に頭頸部がんで初めて保険適用となった新しい治療法です。
 

適応

BNCTはホウ素と中性子を利用することで、がん細胞を選択的に破壊することを目的としています。2021年7月時点で、日本でこの治療の保険適用となっているのは「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」のみです。再発し放射線治療を受けられない患者もこの保険治療を受けられる可能性があります。そのほかのがんに対しては臨床試験が行われています。
 

リスク

BNCTではホウ素化合物を含む薬剤の投与を行いますが、薬剤そのものの副作用として結晶尿が報告されています。なお、中性子線の照射を行う際、治療に伴う痛みや熱さはありません。

照射を行う腫瘍(しゅよう)の部位や種類によって症状は異なりますが、中性子線の照射を行う範囲では、治療後に脱毛、皮膚の炎症や口・喉の炎症が起こる場合があります。これらは治療後に投薬にて処置します。また、治療から2~3か月以降には脳膿瘍(のうのうよう)放射線骨壊死(ほうしゃせんこつえし)白内障が認められることもあります。

治療の経過

一般的な入院期間

BNCTは通常1回の中性子照射のみで完了します。照射後は、経過観察のために1週間程度の入院が必要になります。

治療~退院までの流れ

治療~退院までの流れは医療機関によって異なる場合がありますが、一般的には以下のようなとおりです。

事前検査

PET検査と呼ばれる検査を行い、病巣部にホウ素が集積するどうかを調べることもあります。

器具の作成

中性子線を病巣部に正確に当てるため、照射部位を固定するためのマスクのような器具(シェル)を作成します。

治療計画

作成したシェルを用いて、放射線の照射量、照射方向、体の固定方法などを事前に細かく計画します。

ホウ素薬剤の点滴

中性子照射を行う数時間前から、ホウ素薬剤の点滴を開始します。

中性子照射

患者の体位を事前の計画どおりに固定して、中性子照射を行います。照射時間は30~60分程度です。その間もホウ素薬剤の点滴は継続して行います。

経過観察

経過観察のため、1週間程度入院します。
 

費用の目安

治療費総額は医療機関によっても異なりますが、約400~500万円程度です。保険適用の場合は条件に応じて、このうち1~3割が自己負担額となります。また、自己負担額が高額となった場合には、ひと月の支払額が自己負担限度額までとなる高額療養費制度を利用することができます。
 

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