とうけいぶがん

頭頸部がん

最終更新日:
2024年05月09日
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2024/05/09
更新しました
2020/06/12
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概要

頭頸部がんとは、頭から首までの範囲(頭頸部)で脳と目を除く部位に発生するがんの総称です。がんが発生した場所によって多くの種類に分けられます。

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頭頸部には、発声や咀嚼(そしゃく)、味・におい・音の感知など、私たちが生きていくうえで非常に重要な機能を担う器官が多く存在します。そのため、頭頸部がんを発症すると声が出せなくなったり、味が分からなくなったりするなど社会生活に大きな支障が生じる可能性があります。

 

頭頸部がんの発生頻度はがん全体の5%ほどで、比較的珍しい病気です。過度な飲酒や喫煙、口内環境などが発症リスクとなるものも多く、発症を予防するためには生活習慣の改善が重要であると考えられています。

 

原因

頭頸部がんの原因は、がんの種類によって大きく異なります。発症メカニズムが詳しく分かっていないものもありますが、アルコールの多飲や喫煙、不衛生な口内環境は発症に大きく関わっていることが分かっています。そのほか、EBウイルス*やヒトパピローマウイルス(HPV)**の感染は咽頭がんの発症に関与していると考えられています。

*EBウイルス:ヘルペスウイルスの1つ。多くの人は乳幼児期に感染し、症状が出ないため感染に気付かないまま治癒する。

**ヒトパピローマウイルス(HPV):身の回りにありふれたウイルス。主に性交渉で皮膚や粘膜に感染し、多くは無症状のまま治癒する。200種類以上の遺伝子型のうち、特定の遺伝子型に感染すると進行した場合にがんを発症する。

症状

基本的にはどの種類のがんも発症部位にしこりやただれ(びらん)を形成し、周囲の組織を破壊しながら徐々に大きくなります。早期の段階で発生するしこりやただれなどの病変は通常痛みを伴いません。進行すると発生部位によって次のような症状が現れます。

口腔:口腔内のしこり、出血

上咽頭:耳閉感、鼻づまり、鼻血

喉頭・中咽頭・下咽頭:喉の違和感、声のかすれ、飲み込みの悪さ、首のしこり

鼻腔・副鼻腔:鼻血、鼻づまり、顔面の腫れ

唾液腺:首や顎のしこり、痛み、顔面神経麻痺

甲状腺:喉仏の下のしこり

頸部食道:胸の違和感、飲食物のつかえ感、胸や背中の痛み、咳、声のかすれ

聴器:耳だれ、出血、聴力低下、耳閉感(耳がふさがれた感じ)、腫瘤形成(しゅりゅうけいせい)、顔面神経麻痺

また、頭頸部がんは進行すると首のリンパ節に転移することもあります。

検査・診断

頭頸部がんに対する検査はがんの種類によって異なりますが、基本的には次のような検査が行われます。

画像検査

がんの大きさ、位置、転移の有無などを調べるための検査です。

画像検査には超音波検査、X線検査、CT検査、MRI検査などがありますが、頭頸部がんが疑われる多くの場合は造影剤(血管を描出しやすくなる薬)を注射しながら画像撮影を行う造影CT検査や造影MRI検査が実施されます。

病理検査

がん病変の組織の一部を採取し顕微鏡での詳しい観察を行い、診断が確定します。

口腔内に発生したがんは病変の組織をそのまま採取できますが、鼻腔がん・副鼻腔がん喉頭がんなど直接組織の採取が困難な場所に発生したがんの場合は、口や鼻から内視鏡を挿入して組織を採取します。また、唾液腺がんなど体の表面からしこりが触れる場合は、皮膚から病変部に針を刺して組織を吸引する穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)や針生検を行います。

治療

頭頸部がんの治療はがんの種類や進行の程度によって異なりますが、主に次のような治療が行われます。

手術

頭頸部がんでは、多くの場合、手術でがん組織を切り取ります。場合によっては、欠損した組織を補うための再建手術が同時に行われることもあります。また、早期の段階で発見された中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がんでは発声や飲み込む機能への負担を軽減させるために、口から手術器具を挿入して行う内視鏡的経口手術が行われる場合もあります。

放射線治療

発症部位に放射線を照射してがん細胞にダメージを与えることで、がんの消失を目指します。放射線治療は手術と比較すると根治性に一定の限界がありますが、形態を温存できることが利点です。進行したがんの場合、手術後に再発を予防するため抗がん薬を併用した化学放射線治療が行われることがあります。

抗がん薬治療

がんを縮小させるため、手術前に抗がん薬治療を行うことがあります。治療効果を高めるために放射線治療と併用して行われるほか、治療後に再発や転移した場合に、症状の緩和を目的として抗がん薬治療を行うことがあります。

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