概要
喉頭がんとは、咽頭と気管をつなぐ部位である“喉頭”に発生するがんのことです。
喉頭には声帯が左右に1つずつあり、これらが接して振動することで声が出ます。その声帯および声帯に囲まれた部分を声門と呼び、声門より上を声門上部、下を声門下部と呼びます。がんができる場所によって“声門上部がん”“声門がん”“声門下部がん”と3つに分類され、喉頭がんの中でもっとも発生しやすいのは声門がんとされています。
喉頭がんの症状は発生した部位によって異なり、声門に発生した場合は嗄声(声がれ)といった症状が早期の段階から生じるのが特徴です。また、進行すると息苦しさを自覚するようになり、ほかの臓器へ転移することもあります。
一方、声門の上部や下部に発生したがんは、喉の違和感などの軽い症状のみで目立った症状が現れにくいといわれています。進行して声門にがんが広がり嗄声などが生じたり、頸部のリンパ節に転移したりして腫れに気付くまで発症に気付かないケースも少なくありません。
喉頭がんの治療方法は進行の程度によって異なりますが、早期の段階であれば、頸部を切らずに経口的に手術用顕微鏡下でがんを切除するほか、放射線治療によって喉頭の機能を維持することもできます。しかし、進行すると手術が必要となり、喉頭を摘出することで声を出せなくなる(失声)場合もあります。
原因
喉頭がんは、咽頭と気管をつなぐ部位である喉頭に発生するがんのことを指します。
喉頭がんは女性より男性に多くみられ、喫煙やアルコールの多飲が発症リスクを高めると考えられています。発症者の95%以上が喫煙者であるとの報告もあり、喫煙によってリスクが高まるがんの1つです。
症状
喉頭がんの症状は、がんが発生した部位によって大きく異なります。
声門にがんが発生すると早期段階から嗄声、息漏れなど声の性質や発声に異常が生じるようになります。また進行すると、声門が狭くなることで息苦しさなどの症状が現れたり、血液が混じった痰が出たりするようになります。
一方、声門上部に発生した場合は、のどの違和感や物を飲み込んだときの痛みなどの症状が引き起こされます。しかし、一般的なかぜ症状と間違われることも多く発見が遅れることも少なくありません。進行すると声門にまでがんが広がることで嗄声がみられるようになります。また、声門下部に発生した場合、自覚症状はほとんどなく、進行して声門にがんが広がって初めて発見されるケースが多いとされています。
症状の現れ方は声門の上部や下部に発生したほうが緩やかですが、リンパの流れが豊富であるため、声門にできたがんよりもリンパ節に転移を起こしやすいのが特徴です。
検査・診断
喉頭がんが疑われるときは、以下のような検査が行われます。
内視鏡検査、喉頭ファイバースコープ検査
内視鏡や喉頭ファイバースコープで喉頭を観察します。また、内視鏡検査で病変組織の一部を採取して、顕微鏡で詳しく観察する病理検査を行うこともできます。
画像検査
がんの広がりや深さ、リンパ節への転移の有無を確認するためにCTやMRI、超音波などの画像検査を行う必要があります。
治療
喉頭がんの治療方法は原発巣の進行具合によって大きく異なります。喉頭を手術で全て切除すると術後に声が出せなくなるため、できる限り喉頭の機能を温存する治療が行われます。
早期の段階であれば手術用顕微鏡下での手術やレーザーによるがんの切除、放射線治療が行われます。しかし、これらの治療がうまくいかない場合や進行している場合には手術によるがんの切除が必要です。その場合には喉頭を完全に取り除き、周囲のリンパ節転移がある場合にはリンパ節を切除する手術を行います。進行がんであっても喉頭温存治療を強く希望される場合は、抗がん薬と放射線治療を組み合わせた化学放射線療法が選択されます。初回手術例で再発高リスクである場合には、手術後に放射線治療や抗がん薬治療を追加して行うこともあります。
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予防
喉頭がんは喫煙習慣によって発症リスクが上昇するがんの1つです。そのため、喉頭がんを予防するには喫煙をしないことが大切とされています。
もし喫煙習慣が長い場合でも、10年間禁煙することで喉頭がんの発症リスクが低くなることが分かっています。自分の意志のみで禁煙が難しい場合は、禁煙外来などで専門的な治療を受けるようにしましょう。
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