だえきせんがん

唾液腺がん

最終更新日:
2021年11月17日
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2021/11/17
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概要

唾液腺がんとは、唾液を作る組織である唾液腺に発生した悪性腫瘍(あくせいしゅよう)がん)のことです。

唾液腺には、耳の前から下にある耳下腺(じかせん)、顎の骨の下にある顎下腺(がっかせん)、舌の下にある舌下腺(ぜっかせん)といった大唾液腺と、口の中に存在する小唾液腺があります。これらに発生した悪性腫瘍を総称して唾液腺がんといい、頻度としては耳下腺がんと顎下腺がんが大部分を占めます。

唾液腺がんは頭頸部(とうけいぶ)がん(顔から首までの範囲に生じるがん)の1つですが、ほかの頭頸部がんは単一の組織型であることがほとんどなのに対して、唾液腺がんには20種類以上もの多彩な組織型が存在し、それぞれの症例で悪性度が異なります。

また、唾液腺腫瘍は良性から悪性に変わることがあります。そのため、良性でも悪性でも手術による腫瘍の切除が治療の基本となります。

原因

唾液腺がんの原因はまだはっきりと分かっていません。

症状

唾液腺がんの主な症状は、耳の下や顎の下の腫れ、しこりです。このような症状は良性腫瘍でもみられますが、しこりが急に大きくなる悪性腫瘍の場合は約半数の症例で痛みを伴います。

また、耳下腺の中には顔面神経がいくつも走行しているため、がんが神経を圧迫したりすると目が閉じにくい、口角が下がる、顔の一部がしびれるなどの症状がみられます。このような顔面神経麻痺を伴う場合には悪性腫瘍が強く疑われます。初診時に顔面神経麻痺を伴う症例は約20%です。

唾液腺がんは首のリンパ節に転移することがあり、この場合には首にしこりが現れます。転移による首のしこりが初めて現れる症状となることもあります。

検査・診断

首の下や顎の下に生じるしこりは、良性腫瘍であれば軟らかく可動性があり、悪性腫瘍では硬く可動性がない場合が多いため、一般的にはまず触診をしてしこりの状態を確認します。

次に腫瘍の存在や周囲への広がりを確認するために、超音波検査やMRI検査、CT検査などの画像検査が行われます。

良性・悪性の診断や組織型を診断する目的で穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)も行われます。この検査では皮膚の上から注射器で腫瘍の細胞を吸引し、その細胞を顕微鏡で観察します。

しかし、このような検査でも診断は確定せず、最終的には手術で摘出した腫瘍の病理組織検査で良性か悪性かということや組織型が確定します。そのため、手術前に良性と診断されても手術後に悪性と診断される場合もあります。

治療

唾液腺腫瘍は良性でも悪性でも薬で治すことができません。また、良性でも腫瘍が徐々に大きくなるほか、良性から悪性に転化する可能性もあるため、いずれの場合も全身麻酔下での手術が基本となります。

一般的に唾液腺がんに対して放射線療法や化学療法は有効ではありませんが、がんの悪性度や進行度に応じて手術後に放射線療法が行われることもあります。また、手術前に肺や肝臓などの臓器に遠隔転移している場合、重い持病があるなどの理由から手術が難しい場合には、手術をせずに放射線療法や化学療法が選択されることもあります。

手術

良性の場合は顔面神経などを温存しながら腫瘍を切除するのが原則です。悪性の場合はその悪性度に応じて切除範囲を決定しますが、高悪性がんでは腫瘍の周りに十分な安全域を取って周囲の神経や組織を含め拡大切除するのが原則です。

がんが顔面神経に入り込んでいる場合には神経も切除し、切除後は可能な限り神経を移植して再建します。また、皮膚、筋肉、顎の骨や側頭骨の組織を切除した場合には、欠損部を埋めるためにお腹や腕、足など別の部位の皮膚や筋肉、骨を移植します。

首のリンパ節に転移している場合、疑わしい場合には首のリンパ節や周囲の組織を取り除く頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)が行われます。

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