だえきせんしゅよう

唾液腺腫瘍

最終更新日
2021年03月15日
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2021/03/15
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

唾液腺腫瘍(だえきせんしゅよう)とは、耳下腺や顎下腺、舌下腺といった大唾液腺や口の中に存在する小唾液腺から発生する腫瘍です。唾液腺は唾液を分泌する器官であり、体を覆う表皮(上皮)の下に生じる腫瘍です。一般的に自覚症状はなく腫れで気付くことが多いです。症状としては、唾液腺の存在する場所、すなわち口底・顎の下・耳の前方などに腫れやしこりが生じます。治療は、手術による摘出術が一般的です。

 

種類

唾液腺腫瘍には、良性・悪性含めてさまざまな種類の腫瘍が発生します。良性の腫瘍としては、多形腺腫(たけいせんしゅ)や筋上皮腫、ワルチン腫瘍(腺リンパ腫)、基底細胞腺腫などが挙げられ、痛みや神経の麻痺などの症状は現れないことが一般的です。腫瘍の進行はとてもゆっくりで、数年から数十年かけて腫れやしこりが増大します。かなり大きくなっても自覚症状に乏しいのが特徴です。一方悪性の腫瘍(唾液腺がん)は、多形腺腫由来がんや腺がん、腺様嚢胞がん、粘表皮がん、腺房細胞がんなど多くの種類が挙げられ、それぞれ臨床的に異なる特徴があります。

しかし、どの唾液腺がんも良性と同じようにゆっくりと進行するため、初期に自覚症状を伴うことはまれです。しかし、大きくなると、生じた場所やその周辺に傷みやしびれ(神経麻痺)などが認められることがあります。また、早期であっても他の臓器にすでに転移していることもあります。唾液腺がんは頭頸部(とうけいぶ)がんの3~5%という比較的珍しいがんで、そのうち60~70%は耳下腺に発生します。そのほか顎下腺に生じるのは30~40%、舌下腺に生じるのは2~3%と程度といわれています。また、小唾液腺では、口蓋(こうがい)や唇などに発生することが知られています。

原因

唾液腺腫瘍が生じる原因は、まだ完全には分かっていません。ただ一部の唾液腺腫瘍は、ウィルス感染や放射線被ばくが誘因になるとの報告があります。しかし、多くの唾液腺腫瘍の発生原因については不明なことが多いです。

症状

唾液腺が存在する場所に一致した腫脹(しゅちょう)(腫れ)が特徴です。腫瘍は皮膚の下で進行し、大きくなるため、耳の前や顎の下、口底などに(こぶ)のような硬いしこりを触れます。良性であれば、一般的には痛みはほとんどなく、数年から数十年かけて徐々に大きくなります。また悪性の場合でも初期の場合は良性と同じであることがほとんどです。

しかし、進行すると腫瘍が存在する場所で痛みやしびれを生じたり、周辺の皮膚が赤くなったりすることがあります。また、唾液腺がんのなかには、たとえば腺様嚢胞がんのように、腫瘍が神経に向かって進行する神経浸潤をおこすものもあります。その結果、しびれや感覚障害、運動障害などが発生します。顔面神経(顔の筋肉を動かす神経)が耳下腺の近くを通るため、腫瘍の進行により神経が侵され、目が上手く閉じなくなったり、口がゆがんで食べたものがこぼれたりする顔面神経麻痺が生じることもあります。

検査・診断

自覚症状や触診などにより唾液腺腫瘍を疑う場合は画像検査を行います。画像検査としては、超音波検査やCT検査、MRI検査、PET-CTなどが行われます。また、腫瘍の種類や悪性疾患を調べるために、針により病変部位から細胞を採取する穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)や、組織の一部を採取して調べる病理組織診(生検)が行われます。

治療

唾液腺腫瘍の治療は、手術による摘出術が一般的です。良性腫瘍の場合でも、症状がないからといって手術を受けないと徐々に大きくなり将来切除不能になることも考えられるので、高齢で手術が難しいなどの事情がなければ早期の切除を推奨します。また、多形腺腫のような良性腫瘍でも、長期間放置しているとがん化したり、1度切除してもまれに再発したりすることがあるため、手術後の経過観察が大切になります。

さらに、腫瘍が比較的大きな場合は、術後の合併症が発現することがあります。耳下腺(耳の前に)に発生した唾液腺腫瘍は、摘出後に顔面神経麻痺や汗が過剰に発生するFrey症候群などの合併症が考えられます。悪性腫瘍の場合は、手術でがんを含め広範囲に切除する必要があります。

一般的に放射線治療やがん薬物療法よりも優先して手術が検討されます。腫瘍の摘出とともに、頸部のリンパ節に転移している場合には、リンパ組織を切除する頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)が行われるほか、顔の神経にがんが入り込んでいる場合には、神経移植が行われることもあります。また進行がんでは、手術の後に放射線治療や化学療法が検討されることもあります。

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