せんてんせいせっけっきゅうけいせいいじょうせいひんけつ

先天性赤血球形成異常性貧血

別名
CDA
最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

CDA(Congenital dyserythropoietic anemia)とは、慢性的な貧血と黄疸を主な症状とする血液の病気です。CDAは、2015年に「先天性赤血球形成異常性貧血」という病名で指定難病のひとつとなりました。

CDAでは、赤血球になる前の細胞である赤芽球(せきがきゅう)に生まれつきの形成異常がみられ、赤血球が壊れやすい、あるいは赤血球が作られないといった問題が引き起こされます。そのため、乳幼児期や小児期から貧血がみられ、定期的な輸血治療が必要となることもあります。

過去には、輸血治療に関連して起こる続発性ヘモクロマトーシス(鉄過剰症)により、肝臓や心臓の病気を発症する例もありましたが、治療薬の進歩により続発性ヘモクロマトーシスは防げるようになり、現在は予後のよい病気になってきました。

原因

CDA(先天性赤血球形成異常性貧血)は、3つの病型に分類されると考えられてきました。2000年代に入り、それぞれの病型を引き起こす原因遺伝子が特定されるようになりました。以下は、2018年8月までにわかっている3病型の原因遺伝子と、赤芽球にみられる形成異常(異形成)の特徴です。

I型CDAの原因遺伝子と特徴

原因遺伝子として、CDAN1、C15ORF41の2つが特定されています。

I型CDAでは、血液細胞内のクロマチン構造に「核間架橋」などの異常がみられます。

Ⅱ型CDAの原因と特徴

原因遺伝子として、SEC23Bが特定されています。

Ⅱ型CDAでは、細胞内に本来1つしかないはずの核が複数ある、2核~多核の赤芽球がみられることがあります。

Ⅲ型CDAの原因遺伝子と特徴

原因遺伝子としてKIF23が特定されています。

Ⅲ型CDAでは、多核赤芽球や巨大赤芽球がみられることがあります。

CDA亜型

近年では、これらの病型には属さない亜型のCDAが報告されています。原因遺伝子や症状が非常に多様であり、VARIANTS(ヴァリアンツ・亜型)と呼ばれています。

症状

CDA(先天性赤血球形成異常性貧血)の主な症状は、貧血黄疸(おうだん)の2つです。

慢性的な貧血

赤芽球に形成異常があると、赤血球が通常より早く壊れてしまう成熟障害や、赤芽球が赤血球へと育たない無効造血が起こり、慢性的な貧血が引き起こされます。貧血の程度は一人ひとり異なり、治療の必要がない場合もあれば、生後数か月から輸血治療を要する場合もあります。また、小児期は輸血治療を受ける必要がある場合でも、思春期以降に改善がみられ、治療の必要がなくなる例もあります。

黄疸(おうだん)

結膜(白目の部分)が黄色くなる、比較的軽い黄疸が生じることがあります。CDAにおける黄疸は、赤血球が壊れる際にできる物質・直接ビリルビンの増加により起こります。

検査・診断

診察では、家族歴やこれまでに罹患したことのある既往歴などの確認が行われます。このほか、身体に現れている異変や検査結果をみてCDAの可能性を考えます。

CDAの可能性があると考えられる場合には、骨髄から血液細胞を採取する骨髄穿刺(こつずいせんし)や、他の血液の病気ではないこと確認する除外診断が行われます。

骨髄穿刺により採取した赤芽球を顕微鏡で調べることにより、どの病型に特徴的な形成異常が起こっているかを確認することができます。

従来のCDAの診断では、このように形態学的・生化学的な方法が用いられてきました。ただし、原因となっている責任遺伝子の特定が進んだことなどから、現在では遺伝子学的な診断の重要性が高まっています(2018年8月時点)。

治療

CDA(先天性赤血球形成異常性貧血)には、治療が必要なものとそうでないものがあります。治療選択肢としては、輸血治療や脾臓摘出術があります。

輸血治療と除鉄治療

治療を要する貧血がみられる場合は、月に1回程度の頻度で輸血治療が行われます。

輸血治療を行う場合、体のさまざまな部位に鉄が蓄積する続発性ヘモクロマトーシス(鉄過剰症)を防ぐための治療も積極的に検討されます。

過去には、続発性ヘモクロマトーシスに関連した病気を合併し死亡する例もみられましたが、経口投与できる鉄キレート剤の登場により、この課題は未然に防げるようになりました。

脾臓摘出術(ひぞうてきしゅつじゅつ)

古くなった赤血球を壊し、除去する役割を持つ脾臓を摘出することで、輸血治療の頻度を減らせることがあります。ただし、脾臓は乳幼児期においては免疫組織として大切な役割を果たしています。そのため、患者さんが脾臓摘出の適応年齢となるまでは輸血治療を行い、計画的に手術を実施することもあります。

日常生活について

CDAにより日常生活や社会活動に制限がかかることは、基本的にないとされます。ただし、軽度~中等度の貧血は生涯みられるケースが多いため、激しい運動などは医師と相談のうえで体調をみながら行う必要があります。 また、治療の必要がない、あるいはなくなった場合でも、妊娠や出産、何らかの手術などの際には、輸血治療が必要となることもあります。

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