あきゅうせいこうかせいぜんのうえん

亜急性硬化性全脳炎

別名
SSPE
最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

亜急性硬化性全脳炎(SSPE)とは、麻疹ウイルスに感染してから数年から数十年経過してから発症する病気です。発症するまでの間は、何事もないかのように普通に生活を送ることができます。しかし、あるときから日常生活に支障が生じるようになり、以後進行性に増悪する重篤な病気です。麻疹に感染した方のなかで本疾患を発症するのは数万人に1人程度で、男児にやや多いです。

根本的な治療方法は確立されていません。イノシンプラノベクスやインターフェロンなどの治療薬を用いて治療します。麻疹ウイルスに対するワクチンを接種し、麻疹の予防をすることが大切です。

原因

亜急性硬化性全脳炎は、乳幼児期に感染した麻疹ウイルスを原因として発症します。幼い頃に感染し、中枢神経に潜んでいた麻疹ウイルスが、数年から十数年経過した後に再活性化し、変異麻疹ウイルスによって発症するのです。

特に乳児は免疫力が未熟であり、うまく麻疹ウイルスを排除できず中枢神経への持続感染を許すリスクが高まります。また、幼少期に感染した麻疹ウイルスは、経年的に変化をすることも知られています。実際に、初感染時と亜急性硬化性全脳炎発症時の麻疹ウイルスを比較すると、両者は異なる部分があります。

なぜ麻疹ウイルスが中枢神経に持続感染するのか、何をきっかけとして数年後に再活性化するのか、などの詳細な状況は2018年1月現在、明らかになっていません。

症状

亜急性硬化性全脳炎は、麻疹ウイルスに感染してから数年から十数年を経て発症しますが、その間、特に症状はなく通常通りの発達を示します。幼児期や学童期に発症し、それまでできていたことができなくなるといった症状で気付かれることが多いです。具体的には、学校の成績が悪くなる、字が下手になる、歩行がふらつくようになる、しゃべり方がおかしくなる、などです。初期は軽微な変化ですが、進行性に症状が増悪し亜急性硬化性全脳炎の発症が明らかになってきます。

病気が進行すると、知的障害や運動障害の進行に加えてミオクローヌスと呼ばれる不随意運動をみるようになります。さらに歩行ができず寝たきりになり、食事摂取も自身でできなくなります。徐々に自立した生活を送ることが困難になってきます。体温調節や発汗に関連した異常もみるようになり、最終的には自発運動の消失、意識消失に至ります。

検査・診断

病状の進行により亜急性硬化性全脳炎が疑われるようになります。実際に亜急性硬化性全脳炎を診断するには、血液や髄液を用いて麻疹に対する抗体が上昇していることを確認することが重要です。また、脳波検査で周期性同期性放電と呼ばれる特徴的な所見をみることもあります。その他、頭部CTやMRIを行い、大脳皮質における形態学的な変化を検索します。脳の生検検査や、変異した麻疹ウイルスの遺伝子を特定する検査が行われることもあります。

治療

亜急性硬化性全脳炎では、根本的な治療方法は確立されていません。麻疹ウイルスの増殖を抑えることを目的としてイノシンプラノベクス、インターフェロンαあるいはインターフェロンβなどが使用されます。インターフェロンは髄液中に投与し、脳室オンマイヤーと呼ばれるものを留置することになります。脳に挿入するため、髄膜炎などの感染症には注意が必要です。

病気の進行とともにけいれんや歩行障害、自律神経失調、嚥下障害、呼吸障害なども出現してきます。病状にあわせて抗けいれん薬や去痰剤、下剤、睡眠導入剤、車いすなどの装具の使用、誤嚥を防ぐための食事形態の工夫、胃瘻(いろう)増設や気管切開、人工呼吸器の使用などが検討されます。

亜急性硬化性全脳炎の治療成績は、まだまだ満足のいくものとはいえません。そのため、今後のさらなる研究の進歩と新たな治療方法の開発が期待されています。

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