ぶどうきゅうきんしょくちゅうどく

ブドウ球菌食中毒

同義語
黄色ブドウ球菌食中毒
最終更新日:
2024年09月04日
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2024/09/04
更新しました
2017/04/25
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概要

食中毒とは、有害・有毒な微生物や化学物質を含む飲食物を取ることで、腹痛や下痢、嘔吐などの急性胃腸炎症状を生じる病気です。細菌性食中毒には“感染型”と“毒素型”があり、ブドウ球菌食中毒は、黄色ブドウ球菌によって引き起こされる毒素型食中毒の一種です。日本では1年を通して発生しますが、5~10月に増加し、特に7、8月に多発します。

黄色ブドウ球菌は、さまざまな食品の中で増殖し、その過程でエンテロトキシンと呼ばれる毒素を産生します。このエンテロトキシンを食品と一緒に摂取することによって、胃腸炎症状を引き起こします。

黄色ブドウ球菌は抵抗力が強く、60℃で30分の加熱に耐えます。エンテロトキシンはさらに強く、100℃で30分間加熱しても分解されないため、食中毒を起こしやすいことが特徴です。

強い症状が出るため入院治療が必要になることもありますが、2日程度で回復することが多く、命に関わることはほとんどありません。

原因

黄色ブドウ球菌は牛・豚などの家畜や鳥類、さらに健常な人間の鼻腔(びくう)咽頭(いんとう)・腸管・皮膚・指間部また傷口などに生息しており、食品内で増殖します。増殖する過程でエンテロトキシンが産生され、この毒素を含んだ食品を取ることによって急性胃腸炎を引き起こします。

原因となる食品は幅広く、肉、鶏卵*、乳製品、お菓子などが挙げられますが、特に素手に付着した黄色ブドウ球菌がおにぎりや寿司などの食品に付着することで発症するケースが多いといわれています。また、傷口には多量の黄色ブドウ球菌が存在している可能性があるため、指や手に傷がある場合、素手で食品を触るのは控えましょう。

*鶏卵の汚染は卵の表面だけでなく卵白や卵黄にも及ぶため注意が必要である。

症状

ブドウ球菌食中毒では、食品の中で増殖したエンテロトキシンの摂取から30分~6時間後に、非常に強い吐き気や嘔吐、腹痛、下痢といった胃腸炎症状が急激に生じます。発熱はあまりみられません。一般的には1~2日程度で自然に回復することが多く、後遺症が現れたり命に関わったりすることはほとんどありませんが、繰り返す下痢や嘔吐により脱水状態となり、血圧低下などの重篤な症状を引き起こすケースもあります。

検査・診断

ブドウ球菌食中毒の確定診断には、まず原因となる食品を特定します。特定後は、残された食品(食品残さ)、便や嘔吐物、拭き取った物などに黄色ブドウ球菌が含まれているか調べる培養検査が行われます。さらに、分離された黄色ブドウ球菌のエンテロトキシン産生性を調べます。食品残さから直接エンテロトキシンを検出できる場合もあります。

なお、ブドウ球菌食中毒の確定診断にはエンテロトキシンの証明が必要です。しかし、確定診断に至らない場合でもブドウ球菌食中毒が疑われる場合は、食品衛生法によって、24時間以内に医師が保健所に届け出を行う必要があります。

治療

ブドウ球菌食中毒では、基本的に特別な治療は必要ありません。水分補給や整腸薬などによる対症療法で多くの場合、1~2日程度で回復します。しかし、頻回な下痢や嘔吐で脱水状態になっている場合は点滴が必要となるため、入院治療が行われることがあります。

なお、ブドウ球菌自体は薬剤耐性菌を生じやすく、また抗生物質の多剤耐性菌が多いといわれています。

予防

黄色ブドウ球菌が産生する毒素は、通常の加熱では分解されないため、できる限り食材に菌をつけないこと、また食材中での増殖を抑えることが重要です。

調理をするときは手指の洗浄とアルコールによる消毒を行い、手指に手荒れや傷がある場合は素手で食品に触れないようにしましょう。調理時に使い捨て手袋、帽子やマスクを着用することも有効とされています。また、黄色ブドウ球菌は10℃以下の環境ではほとんど増殖できないといわれているため、食品は10℃以下の冷蔵庫で保存し、調理後の食品はできるだけ早めに消費することも大切です。

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