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網膜静脈閉塞症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

網膜静脈閉塞症とは、網膜の血管(静脈)が詰まり、網膜への血流が途絶えることで、視力低下や視野欠損が起こる疾患を指します。障害を受ける網膜静脈の部位に応じて、網膜中心静脈閉塞症や網膜静脈分枝閉塞症と分類されています。

網膜静脈閉塞症では高血圧や高脂血症などが、発症の危険因子であると考えられています。そのため、網膜静脈閉塞症は加齢と共に発症しやすくなり、日本では40歳以上の方における有病率はおよそ2%であると報告されています。網膜静脈閉塞症は自然に改善することもある病気ですが、病状の程度や経過によっては治療が必要になります。近年では抗VEGF薬やレーザー治療の導入によって、治療成績が向上しました。

網膜静脈閉塞症は、生活習慣と深く関係している病気なので、生活スタイルの是正も治療の上で重要です。
 

原因

網膜は外部から取り込んだ光を電気信号に変換する、視力を形成するうえでなくてはならない存在です。
網膜全体は細かな血管網が通っていて、すみずみまで栄養が供給されるようになっています。網膜へと送られる血液は網膜中心動脈から供給されています。網膜動脈と並走する網膜静脈に戻った血液は、視神経乳頭で再び一本に集まり、視神経内を通って心臓に戻されます。網膜に血液を供給する血管のうち網膜静脈が閉塞すると、網膜静脈閉塞症を発症します。

網膜静脈の分布は細かく分岐しており、中心部で障害を受けると網膜中心静脈閉塞症、分岐先で血管閉塞が生じると網膜静脈分枝閉塞症を、それぞれ発症することになります。このとき、血管の閉塞部位に関連して眼底に出血が生じると黄斑浮腫を生じることもあります。

黄斑部は網膜の中心部に位置し、この部分に多くの視細胞が密集しています。そのため、黄斑部に浮腫や虚血が起こると視力が著しく低下してしまいます。網膜中心静脈閉塞症の場合は基本的に黄斑浮腫が起こり、網膜静脈分枝閉塞症の場合は閉塞が黄斑部にかかっている場合に起こります。網膜の血管病変として発症する網膜静脈閉塞症ですが、発症には高血圧や高脂血症などが大きく関与しています。その他、緑内障も発症のリスク因子であると考えられています。
 

症状

網膜静脈閉塞症は、網膜静脈の閉塞部位に応じて重症度が異なります。網膜中心静脈閉塞症の場合は急激な視力の低下、網膜静脈分枝閉塞症の場合はものがゆがんで見える、視野欠損が代表的な症状です。黄斑部にかかっての変化を伴うことが多く、視力に対しての影響は大きいです。

その一方、より末梢側が閉塞する網膜静脈分枝閉塞症では、非常に軽症なケースもみられます。軽症例では眼底の浮腫も出血も少ないため自然に治ることがあります。しかしなかには症状が重く、視力が著しく低下することもあります。
 

検査・診断

網膜静脈閉塞症では眼底の評価が重要になるため、眼底検査や蛍光眼底造影検査、光干渉断層計といった検査が行われます。こうした検査を通して、病変の範囲、部位、血管閉塞の程度などを詳細に評価することが可能となり、重症度の判定やその後の治療方針の決定に重要な情報を得ることができます。
 

治療

網膜静脈閉塞症では、閉塞が生じた部位に応じて治療方針が決定されます。網膜静脈分枝閉塞症では、視力障害に影響がおよばない部位に病変があることもあり、自然回復も期待できるため経過観察となることもあります。

しかし、中心部の静脈が障害を受けた場合や、網膜静脈分枝閉塞症でも部位によっては積極的な治療介入対象となります。治療方法として選択されるのは、抗VEGF療法、レーザー治療、硝子体手術などがあります。以前は虚血した網膜にレーザーを当てるレーザー治療あるいは手術が中心でした。しかし、レーザー治療では黄斑浮腫が引きにくく、視力予後の改善が思わしくないという問題がありました。 

一方、抗VEGF薬は病状の進行を強力に抑制します。抗VEGF薬が網膜静脈閉塞症で使用されるようになって以降、患者さんの視力予後は改善してきています。 
網膜静脈閉塞症は、高血圧や高脂血症が発症リスクを高めます。網膜静脈閉塞症の発症予防の観点からも、生活スタイルの改善や内服薬治療を行うことも大切です。
 

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