概要
黄熱とは、黄熱ウイルスを持つ蚊に刺されることによって生じる感染症です。日本では感染症法にて4類感染症に指定されており、患者を診断した医師から保健所への届け出が義務付けられています。
黄熱は感染しても無症状または軽い症状で治ることがほとんどですが、時に重症化し、死に至る可能性があります。
原因となる蚊は“ネッタイシマカ”という種類が多く、主にアフリカや中南米などの地域で流行しています。日本では、2021年9月現在まで発症例の報告はありません。
黄熱を根本的に治す治療法はないため、症状を和らげるための対症療法が行われることが一般的です。また、黄熱はワクチン接種により予防することが可能です。国によっては入国の際に黄熱の予防接種証明書(イエローカード)の提示を求められることもあります。
原因
黄熱は黄熱ウイルスが原因で発症します。黄熱ウイルスは、ヒトやサルの体の中でも生息することができ、ヒトは主に黄熱ウイルスを持つ“ネッタイシマカ”という蚊に刺されることで感染します。
ネッタイシマカはアフリカと南米に広く生息しており、熱帯雨林などの森林はもちろんのこと都市部でも認めることがあります。ジャングルにおいてはサルや蚊の間でウイルスが受け渡され続けており、そこに人間が立ち入った際に蚊に刺されて感染します。
一方、都市部においては、熱帯雨林などで感染した人が都市部に移動することで、その感染者を都市部にいる蚊が吸血し感染蚊となり、黄熱に対して免疫のない人を刺し、黄熱を発症させることで人から人へ感染を広めることとなります。
症状
感染後3~6日ほどの潜伏期間を経て、主に発熱と頭痛などが現れますが、通常は1~3日程度で回復します(軽症黄熱)。多くの場合はこのような軽い症状または無症状であるとされていますが、およそ15%で重症化することがあります(重症黄熱)。
重症化した場合、一度は症状が改善したように見えますが、数時間から1日以内に突然高熱などの症状が再燃します。高熱であっても脈拍数は1分間に48~52回ほど(正常では50~100回)と遅いことが特徴です。また、典型的な症状として、黄疸、出血(鼻血や消化管、口腔内、子宮など)、タンパク尿の3つが挙げられます。黄疸とは、皮膚などが黄色くなる状態であり、このことから“黄熱”と呼ばれます。これら3症状が進行すると、多臓器不全やショックを続発し、1週間から10日までに死亡する場合があります。重症化した方のうち、20~50%の方が命を落とすといわれています。
検査・診断
黄熱の診断は、流行地域で感染する可能性があるほかの感染症も含めて広く鑑別を行う必要があります。鑑別を要するものとして、マラリア、レプトスピラ症、ウイルス性肝炎などがあげられます。
黄熱の診断は、(1) ウイルス分離、(2) PCR法、(3) 抗体検査を基にしてなされます。ウイルス分離とは血液を採取し、その中から特定のウイルスのみを捕まえて増殖させることをいいます。また、PCR法は黄熱ウイルスに特徴的な遺伝子を検出する方法で、初期の段階に原因ウイルスを特定できる可能性が高いとされています。
また、黄熱ではタンパク尿が見られることがあるため、尿検査が行われることがあります。
治療
黄熱に特化した治療薬や治療法はありません。そのため、発熱や脱水などの症状に応じた対症療法が治療の基本となります。また、細菌感染の合併が認められるケースでは、抗菌薬を使用した治療も検討されます。
予防
黄熱は特別な治療方法がないため、ワクチン接種による予防が重要です。予防接種による免疫効果は、1回接種することで生涯にわたって黄熱を予防することができるといわれています。
接種ができる場所は一部の医療機関または検疫所です。医療機関は限られているので、渡航予定がある際には厚生労働省検疫所が出している「黄熱ワクチン1人用の接種を行っている機関」を参考にしてください。
また、渡航先では蚊に刺されないために虫除けスプレーなどを使用するほか、肌を露出しないように長袖・長ズボンを着用するようにしましょう。ただし、服が薄手で肌に密着するものだと服の上から蚊に刺されてしまう可能性があるため、厚手でゆったりとしたものを選ぶようにしましょう。
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