未解明のアレルギー疾患の解明が、私の使命

筑波大学 呼吸器内科 教授
檜澤 伸之 先生

未解明のアレルギー疾患の解明が、私の使命

研究者・教授として、そして一人の医師として奮闘する檜澤伸之先生のストーリー

公開日 : 2017 年 05 月 31 日
更新日 : 2017 年 05 月 31 日

父の背中を追って医師の道へ

父親は病理学を専門とする医師です。病理医とは、解剖による死因や病態の解明などを行い、病気の確定診断を行う医師のこと。普段から患者さんの前に出てきて治療を行う医師ではないため、一般の方には馴染みが薄いかもしれません。それでも病気の謎を明らかにするために日々顕微鏡を覗く父の姿は誇らしくみえたものです。物心がついたときには、私も父のように、世の中の謎を解明するための研究者になりたいと思っていました。

一般の研究職ではなく医師を志したのも、私自身が自覚してないところで父親の影響があったのかもしれません。そして父親の背中を追いかけ、同じ北海道大学医学部へ入学。医師の道の一歩を踏み出しました。

研修先で出会った、研究と臨床を両立する姿

私は医学部入学当初から、研究者として生きていくのだろうと、漠然と考えていました。しかしせっかく医師免許を取ったのだから、一定期間は臨床医として医学に接し、きちんと人の病気を理解したうえで、研究生活を始めるのがよいだろうと感じ、大学卒業後は国立国際医療研究センター病院で2年間の研修生活を送りました。

そこで目にしたのは、日々多くの患者さんを診療しながらも、ただ患者を診るだけではなく熱心に研究をする先輩医師の姿。国立国際医療研究センター病院は研究所も併設された病院という背景もあったのでしょう。臨床も研究も手を抜かず、素晴らしい功績をあげる先生がたくさんいました。

臨床の面白さがどんどんわかってくる中で、臨床と研究とのいずれも諦めることなく医学に貢献している多くの先生方の姿は、当時の私には衝撃的でした。

患者さんから教えられた病態に迫ることの醍醐味

呼吸器内科研修中の一人の若い患者さんとの出会いが、私が呼吸器内科医としての道を選んだ大きなきっかけになったような気がします。発熱、肺の多発結節、低酸素血症、心不全。今から思えば、サルコイドーシスという難病であったと思いますが、当時は患者さんの病態がなかなか理解できずに頭を抱えてしまっていました。一方で患者さんの体の中で起こっていることをあれやこれやと考えることが楽しく、多くの論文にあたり、寝る間も惜しんで勉強しました。

気管支肺胞洗浄という検査は、肺の一部に気管支鏡というカメラと生理食塩水を入れてそれを回収し、顕微鏡で回収した細胞を観察します。この患者さんの肺の細胞のようすを顕微鏡で観察しながら、肺の中で起こっていることに思いを巡らせ、とても気持ちが高ぶった経験が今でも忘れられません。

この患者さんに限らず、呼吸器疾患にはアレルギーなどまだまだその本態が解明されていない疾患が多くあり、呼吸器内科での研修は、研究に対する興味も大きかった当時の自分を強く刺激してくれました。

国立国際医療研究センター病院で勤務した後は、母校でもあり全国的にもないか知名度の高かった北海道大学の呼吸器内科へ戻りました。当時は学内に100名近くの医局員が在籍しており、診療業務だけに追われることなくじっくりと論文を読み、研究に触れることもできました。早くから研究にも携わっていきたかった私には、最良の環境であったと思います。

そして、その時、私は生涯、心血を注ぐこととなる研究テーマを教授から言い渡されます。

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筑波大学 呼吸器内科 教授

檜澤 伸之 先生

特に気管支喘息、COPDなどの慢性炎症性肺疾患を専門としており、慢性炎症性肺疾患の遺伝的背景に関する研究業績も多数。喘息やCOPDといった病名ではなく、個々の患者さんの分子病態の多様性に着目したアプローチの確立を目指している。後進の育成にも定評があり、毎年多くの研修医や大学院生が集まる。

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