NTT東日本関東病院で取り扱った症例
この病院で治療をした実際の症例について、医師のインタビューを元に作成しています。
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左肺を切除後、右肺にもがんが発生した70歳代男性の肺がん
NTT東日本関東病院で呼吸器センター長と呼吸器外科部長を兼任する松本 順まつもと じゅん先生に、肺がんの症例についてお話を伺いました。 左肺を切除後、右肺にもがんが発生した70歳代男性の肺がん この患者さんはもともと肺がんで左の下葉を切除していたものの、手術後に右の上葉にもがんが発生し、手術を検討することになりました。もともと左の肺が半分しか残っていないため、右の肺をさらに切除することは呼吸機能の観点から見ても難しいと思いましたが、どうにか切除できないだろうかと頭を抱えました。 ロボット支援下手術の様子 こちらの治療では麻酔科*の先生と密に連携を取り、手術用ロボットを活用して切除すべき右の肺の上葉を膨らませながら手術を行いました。ロボット支援下手術では肺を膨らませたり、しぼめたりしながら治療ができるため、結果としてうまく上葉だけを切除することができました。治療をしたことによってがんが十分に取り切れたほか、呼吸機能も温存することができました。 *日本麻酔科学会麻酔科標榜医:小松 孝美
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ホルモン療法後に手術を行った40歳代男性
NTT東日本関東病院 泌尿器科部長の志賀 淑之(しが よしゆき)先生に、前立腺がんの症例についてお話を伺いました。 ホルモン療法後に手術を行った40歳代男性 こちらの患者さんはPSA検査の結果が100以上と非常に高値で、骨盤リンパ節にも転移がある状態で前立腺がんが見つかりました。ほかの医療機関では手術治療も放射線治療も難しいといわれ、ホルモン療法を行うことを提案されたそうです。当院へはセカンドオピニオン外来でいらっしゃったのですが、年齢が若いこともあり、なんとか手術ができないだろうかと私たちも頭を悩ませました。 半年間のホルモン療法の後に手術を実施 そこで当院では半年間ホルモン療法を行い、PSA値を下げてから手術を行うことにしました。手術は転移のあった骨盤リンパ節も取り除く大がかりなものとなりましたが、手術時間はおよそ2時間半と短時間で、出血量も20ccと少なく済みました。術後の合併症として尿失禁なども見られず、5年以上経過した今でも再発なくお元気に過ごされています。
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高難易度でも手術を行った60歳代男性
NTT東日本関東病院 泌尿器科部長の志賀 淑之(しが よしゆき)先生に、前立腺がんの症例についてお話を伺いました。 高難易度でも手術を行った60歳代男性 こちらの患者さんは以前に開腹手術を受けたことがあり、さらに比較的高度な肥満であることから、ほかの医療機関では手術が行えないと判断されて当院にお越しになりました。以前受診されていた医療機関ではホルモン療法や放射線治療を提案されていたそうですが、糖尿病に罹患しておりホルモン療法には合併症などのリスクが懸念されていました。 難しい症例でも手術を実施 開腹手術を経験しており癒着のある方や肥満の方は、ロボット支援下手術では治療が難しいことが多く、手術が行えないこともあります。しかし、当院ではこのような難しい症例に対しても治療をしてきた実績があったため、こちらの患者さんに対しても手術治療を行いました。幸い手術でがんを取り切ることができ、数年経った現在も再発なく生活されています。
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VRを活用した手術を行った70歳代男性
NTT東日本関東病院 泌尿器科部長の志賀 淑之(しが よしゆき)先生に、前立腺がんの症例についてお話を伺いました。 VRを活用した手術を行った70歳代男性 こちらの患者さんは前立腺肥大が強く、前立腺の大きさが握りこぶし程度ある状態でした。前立腺は通常20g程度の臓器ですが、がん発見時には110gもあり、難しい手術になることが予測されました。 VRを用いて高い精度の手術を実施 このような強い前立腺肥大を伴う前立腺がんの手術では、前立腺と膀胱の状態を立体的に捉え、前立腺を丁寧に切除していくことが大切です。そこで当院ではバーチャルリアリティ(VR)を活用し、立体的に切除範囲を見極めたうえで手術に臨みました。手術直後は多少の尿失禁が見られたものの体の回復とともに改善され、今では問題なく生活されています。術後5年以上経過していますが、再発はなくお元気です。
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胃がんが再発し、再度の内視鏡治療は難しいと言われた例
NTT東日本関東病院 内視鏡部部長の大圃おおはた研けん先生に、胃がんの症例について伺いました。 胃がんが再発し、再度の内視鏡治療は難しいと言われた例 この患者さんは、過去に胃がんで内視鏡治療をした後に再発した方でした。一般的には、一度内視鏡治療を行った場所にもう一度内視鏡治療を行うのは難しいとされています。これは、内視鏡治療を行うと炎症・線維化を起こし、穿孔(せんこう)(穴が開くこと)の可能性が高くなるためです。 この方はほかの病院で内視鏡治療ができないと言われていました。しかし、これは手術難易度の問題であり、当院なら内視鏡治療が可能と判断できました。治療は1時間弱で終了し、その後は元通りの暮らしを送っていらっしゃいます。このように何度も内視鏡治療を行うのは、当院では珍しくないことです。
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胃に7つのがんが見つかった30歳代の女性
NTT東日本関東病院 内視鏡部部長の大圃おおはた研けん先生に、胃がんの症例について伺いました。 胃に7つのがんが見つかった30歳代の女性 この方は若い女性で、まだ30歳代でした。胃に7つのがんが見つかりましたが、その1つ1つは内視鏡治療が適応になる早期の病変。個々の病変を分けて切除していく施設もあると思いますが、その場合入院期間は合計で1か月以上に及びます。そのため、当院では1回で全てのがんを取り切ることにしました。 この方の場合、数が多いことに加えて場所も悪かったので時間のかかる治療になることが予想されました。そこで、手術室で全身麻酔をかけ、より安全性を高めて治療を行いました。結果、5時間ほどかかりましたが1回で7つ全て取り切ることができました。 治療後は1週間ほどで退院し、今も元気に暮らしていらっしゃいます。年齢が若いということもあり、お腹に傷をつけることなく胃も残せたということは代えがたい価値のあることだったと思います。
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オンライン診療からのセカンドオピニオンで来院した大腸がん患者さん
NTT東日本関東病院 内視鏡部部長の大圃おおはた研けん先生に、大腸がんの症例について伺いました。 オンライン診療からのセカンドオピニオンで来院した大腸がん患者さん この患者さんは他県にお住まいでした。地元の病院で大腸がんと診断され、内視鏡治療は適応にならず手術が必要だと言われたそうです。内視鏡で何とか治療できないかとセカンドオピニオンの病院を探しているなかで当院を発見され、ご相談いただきました。 遠方ということもあってまずはオンライン診療でお話を聞き、大腸の写真を見せていただいたところ、おそらく当院なら内視鏡治療が行えると判断。あらためて来院いただいて精密検査を行いました。その後内視鏡による治療を行い、30分ほどで取り切ることができました。 術後の通院コストが小さいのも内視鏡治療の特徴 内視鏡治療の場合、術後に何度も通院していただく必要はありません。この患者さんの場合も、治療前の来院や治療のための入院を含めて4回来院いただいたのみです。そのため、移動コストという面での負担が少ないことも内視鏡治療の特徴といえるでしょう。画像だけでも、内視鏡治療が適応になるかどうかある程度の判断はつきますので、まずはご相談いただきたいと思います。当院ではオンライン診療も行っていますので、特に遠方にお住まいの方は利用をご検討ください。