院長インタビュー

地域に必要とされる病院であるために―JCHO湯布院病院の取り組み

地域に必要とされる病院であるために―JCHO湯布院病院の取り組み
根橋 良雄 先生

独立行政法人地域医療機能推進機構 湯布院病院 院長

根橋 良雄 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年01月08日です。

湯布院病院は1962年に大分県由布市に厚生年金湯布院病院として開業しました。2014年からは、独立行政法人 地域医療機能推進機構の病院となりました。

今でも、地域の方に厚生年金病院と呼ばれ親しまれています。同院の取り組みについて院長の根橋良雄先生にお話を伺いました。

 

病院外観(由布院病院よりご提供)

湯布院病院は、全国に57か所ある独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO)の病院のひとつです。開院以来、リハビリテーションに特化した診療を行ってきました。

 

病院待合の様子(由布院病院よりご提供)

当院はリハビリが診療の核です。病気やけがの治療中から治療後まで、それぞれに応じたリハビリを提供しています。

 

医療機器をもちいたリハビリテーションの様子(由布院病院よりご提供)

一般病床のほか、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟、緩和ケア病棟を備えていますので、急性期の治療が終わった患者さんを他院から受け入れるケースも増えています。

そうした意味で、リハビリと地域包括ケアシステムの一端を担う地域医療の2つが、当院の診療の軸になっているといえるでしょう。

 

院内の教育室(由布院病院よりご提供)

また県から委託を受けて、「大分県リハビリテーション支援センター」の運営も行っています。地域に拠点を持って支援を行う広域支援センターと連携したり、研修会を行ったりといった活動も当院の重要な仕事です。

リハビリに関して、もう1つ力を入れているのが、災害時の支援です。

災害発生時、災害による直接的な被害で亡くなる方もいますが、避難所でじっとしていたり水分を充分に摂れなかったりすることで、心身の健康状態が悪化したり、深部静脈血栓症などを起こして命を落とすということもあります。こうした事態を防ぐため、県内にある他リハビリセンターとも協力しながら、災害時には現地でリハビリ支援を行っています。

2016年の熊本地震が発生したとき、当院がある地域もかなり揺れてはいたのですが、特に甚大な被害を受けた地域での支援活動をなるべく早く開始するべきだと判断して、被災地の南阿蘇へスタッフを派遣しました。

2017年には、大分JRAT(大分災害リハビリテーション推進協議会)が大分県と協定を結び、それに基づいて活動できる体制を整えました。同年に発生した九州北部豪雨災害で日田市が被災したときには、協定に基づいて当院からスタッフを派遣した実績もあります。

こうした災害時の支援に関しては、これからも精力的に取り組んでいきたいです。

 

他職種カンファレンスの様子(由布院病院よりご提供)

これからは病院のあり方を見直していかなければならないと考えています。

当院では開院以来リハビリをやってきたこともあり、今後もずっと続けていく方針であります。しかし、地域から寄せられる医療ニーズに応えるためには、私たち医療者のやりたいことだけを優先してやる、ということはできません。地域の医療体制を支える病院として、世の中の動きに沿って、地域住民の皆さんに必要とされる医療を提供する必要があるのです。

 

病室の様子(由布院病院よりご提供)

職員が足りない中で、いかにして患者さんを受け入れていくかも、当院の抱える課題です。そのためには、医師をはじめとしたスタッフの確保ももちろん重要ですが、彼等が働きやすい環境づくりを進めていく必要があります。

 

 

専門性を重視した医療の知識や技量も重要ですが、地域医療では患者さんの心身をトータルで診療可能なスキルを持つ医師が求められてます。そのような診療力を身に付けたい方であれば当院で学べることはたくさんありますし、すでに得意としている方なら活躍の場が広がるのではないかと思います。

当院には、できること、できないことがあります。当院でできないことに関しては、地域の医療機関をご紹介するなどして、地域全体で連携しながら皆さんを治療していきます。

このように、地域全体で皆さんの生活や健康を医療面から支えていくための取り組みがあるということをご理解いただけると幸いです。

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  • 独立行政法人地域医療機能推進機構 湯布院病院 院長

    根橋 良雄 先生

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