院長インタビュー

市立岸和田市民病院─地域に求められる医療の提供を目指して

市立岸和田市民病院─地域に求められる医療の提供を目指して
小切 匡史 先生

市立岸和田市民病院 元院長

小切 匡史 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年08月20日です。

大阪府岸和田市の公立病院、市立岸和田市民病院は岸和田市の市民病院としての使命を持ち、地域の皆さんに求められる医療の提供に尽力しています。充実した高度・専門医療と救急医療の提供を目指す同院について、院長の小切匡史先生にお話を伺いました。

市立岸和田市民病院 外観
市立岸和田市民病院 外観

当院は岸和田市の市立病院として、高度・専門医療と救急医療の提供を基本方針のひとつとしています。高度・専門医療では、がんを中心に、移植以外は大学病院に匹敵する内容の医療を目指して診療を行っています。救急医療では、救急科を中心に各科でオンコール体制も整え、24時間受け入れられる救急を実践しています。

当院は2002年に地域がん診療連携拠点病院に指定されました。がんの状態や患者さんのご希望に合わせて手術、放射線治療、化学療法を選択しますが、各診療科と放射線治療科、腫瘍内科が連携してがん診療に挑んでいます。さらに、希少がんの治療として、当院では腹膜偽粘液腫(ふくまくぎねんえきしゅ)の治療を実施しています。腹膜偽粘液腫の治療を専門としている医師が在籍していることもあり、関西圏や遠方からも患者さんがいらっしゃることもあります(2019年7月時点)。

また、緩和ケア病棟を開設しているため、がんそのものの治療だけでなく、痛みや苦痛の緩和をメインにした治療も行えます。

当院は2018年11月に大阪府難病診療連携拠点病院に指定されました。難病診療連携拠点病院は、難病の患者さんに対する医療等に関する法律に基づき、より早期に正しい診断をする機能を持ち、診断後は患者さんの身近な医療機関で適切な医療を受けることができるような医療提供体制の一端を担います。泉州二次医療圏の難病の患者さんのため、スタッフの充実を図っています。

救急医療は24時間体制で受け入れ、患者さんの救命に力を注いでいます。また、岸和田市には救命救急センターを擁する岸和田徳洲会病院も位置しているため、岸和田市民の皆さんの100%近くを市内の医療機関で受け入れることが可能になっていると思います。当院は今後も、地域の皆さんが岸和田市内で救急医療を受けられるように尽力してまいります。

市立岸和田市民病院 内観
市立岸和田市民病院 内観

当院は岸和田市の公立病院として、地域に求められる医療の提供に尽力しています。そのため、32の診療科を擁してさまざまな病気に対応できるようにしています(2019年7月時点)。以下では、多職種連携で治療から在宅復帰まで尽力する脳神経外科、神経内科の取り組みと、地域の皆さんが安心して生活できるように力を注ぐ小児科、産婦人科についてご紹介いたします。

脳神経外科では、日々の診療と救急搬送される脳卒中の疑いのある患者さんの治療に尽力しています。脳卒中の治療では神経内科とも連携を取り、外科手術、脳血管内治療を行います。また、リハビリテーション科や精神科とも連携を取っていて、術後のリハビリテーションの実施はもちろん、精神的に不安定になっている患者さんの心のサポートもします。

あたたかみのある病棟内
あたたかみのある病棟内

地域の皆さんが安心して生活を送ることができるように、小児科、産婦人科の診療を充実させています。小児科では地域の医療機関からご紹介を受けた際には、可能な限り工夫して断らないように努めています。

産婦人科では、婦人科診療とお産をそれぞれ担っています。当院の産婦人科は2014年からお産を再開し、地域でのお産に貢献しています。当院での要支援妊婦さんの出産件数も増加傾向にあり、近隣の専門関連機関や多職種連携の体制をさらに強化していくつもりです。

また、当院でのお産が難しいハイリスク妊娠の妊婦さんは大阪母子医療センターをご紹介し、適切なサポートを受けられるように連携を取っています。

当院は市民病院であり、若手医師の教育の場でもあります。初期研修プログラムでは、1人の研修医に対して先輩医師たちが密度の濃い指導を実施しています。少人数の研修医定員だからこその特徴です。また、同じ時期に複数の研修医が同じ診療科で研修することのないよう工夫したローテートを行っています。研修医が集中して研修に臨め、より実りのある研修につながると思います。

若手医師の皆さんには、「諦めるな」と言っています。たとえば、がんが進行しいわゆる「終末期」の患者さんでも、治療によって少しでも症状がとれないか、QOLがよくならないか、何かできることはないか、いつも考えてほしいと思います。現在は電子カルテも普及し、情報の共有は大変しやすくなりました。しかし、患者さんの状態を見極めるのはベッドサイドで行うものです。自分の目で見て、触った感触で、時にはにおいから感じ取れることもあるはずです。患者さんと接していくなかで、医師としての技量を磨いていってください。

小切匡史先生

地域全体をひとつの病院と考えて、それぞれの病院の役割を担っていきたいと思います。そのなかで当院は急性期医療を担い、治療が一段落したら回復期リハビリテーションや慢性期、地域の開業の先生のもとなどにご紹介していきます。市民公開講座や出前講座などで病気のことをお話しする機会もありますので、ぜひご参加ください。

病院の基本方針である高度・専門医療と救急医療の両立を目標に、地域の急性期医療を担う病院として尽力することです。当院の位置する泉州2次医療圏は、8市4町からなる広域な地域です。そのため、同じ泉州地域でも近隣の貝塚市や和泉市などからも来院されることは少なくありません。地域連携を強化し、患者さんが切れ目なく医療を受けられる地域を作り上げられるようにしていきたいと思います。

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  • 市立岸和田市民病院 元院長

    日本外科学会 外科専門医・指導医日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器外科指導医日本消化器病学会 消化器病専門医・消化器病指導医日本膵臓学会 認定指導医

    小切 匡史 先生

    1979年より消化器外科医師としてキャリアをはじめる。市中病院で研修ののち、京都大学大学院に入学。『意識下膵外分泌・臓器血行動態に関する基礎的研究—消化管ホルモンの関与について—』で医学博士を授与される。膵臓外科をサブスペシャリティーとし、1998年からは市立岸和田市民病院に勤務、2011年同病院院長となり、現在に至る。

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