尾てい骨が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
筑波大学 医学医療系整形外科 准教授
國府田 正雄 先生【監修】
日常の動作で座ったり歩いたりするときに、尾てい骨に痛みを感じたことのある人もいるでしょう。心当たりがないような場合や、伴う症状によっては注意が必要なこともあります。
このような状態が続く場合、原因として何が考えられるでしょうか。
尾てい骨の痛みはなんらかの病気やケガが原因となっている場合もあります。
何かの拍子に尻もちをついたり何かにぶつかったりなどの衝撃が加わったとき、いわゆる打撲・打ち身などと呼ばれる状態となることがあります。
打撲は皮下組織や筋肉に損傷が生じて痛みが起こります。また、強い衝撃のために内出血や腫れが現れることもあります。
ふつう打撲であれば自然によくなっていくことがほとんどです。いつまでもよくならないような場合には骨折など別の原因を考える必要があります。
背骨の末端を尾骨と呼びますが、これが一般的に尾てい骨と呼ばれている場所です。
打撲のときと同じように、ぶつかったり転んだりなどの強い衝撃を受けたとき、尾骨が骨折していることもあります。
尾骨は細い骨のため、他の骨折のような強い痛みや腫れを伴わないこともあります。打撲と思っていたのに痛みが長引いて治らないような場合には注意が必要です。
骨盤は一つの骨でなくいくつかの骨が組み合わさってできていますが、そのうち骨盤の後ろ側中央にある骨を仙骨といいます。仙骨脊索腫とは、この仙骨に発生する悪性腫瘍のことです。
稀な腫瘍ですが、自覚症状が薄いことも多く気づかれにくいともいわれています。お尻の周りや尾てい骨にいつも痛みやしびれを感じているような場合には気をつける必要があります。
馬尾とは、脊椎を通る神経を束ねた脊柱管の下部にあたり、この部位の神経に腫瘍ができる症状です。痛みは尾てい骨から腰あたりにも及び、特に就寝時など横になったときに痛みます。
馬尾に腫瘍ができると、痛みのほかにしびれや歩行障害のほか、排尿・排便障害といった症状が起こることがあります。
転んだ・尻もちをついたなどのきっかけから痛みが続いているような場合には、一度受診しておきましょう。また、特別心当たりがないにも関わらず痛みが続く、徐々にひどくなっているように感じられる場合なども受診が必要です。
受診科目は整形外科が適しています。
医師の診察を受けるときは、痛みの状態をできるだけ細かく具体的に伝えるようにしましょう。どこがいつからどれくらい痛むか、痛みが強くなるタイミングはあるか、きっかけとなった出来事があるかどうかなどです。また、しびれなど他の症状を伴っている場合は、それも詳細に伝えましょう。
尾てい骨の痛みは、日常生活の中に原因があり起こっていることもあります。
普段座っているときの姿勢に問題があり、尾てい骨の痛みが起こることもあります。
座るときはきちんと背筋を伸ばし、両方のお尻にある坐骨で体を支えるように意識しましょう。椅子にきちんと腰掛けず、前にずれたような座り方をすると尾てい骨に体重がかかり痛みの原因となることがあります。
妊娠してお腹が大きくなると骨盤が前に傾き、尾てい骨が外に向いた状態になりやすいといわれています。
妊娠中には骨盤をなるべく立てて腰を伸ばし、座るときには坐骨で支えるように正しい姿勢で座るように心がけましょう。また、適度なサポート力のある腹帯でお腹をささえたり、クッションなどで尾てい骨にかかる負担を和らげるなども効果的です。
自分でできる対処法を試しても症状がよくならない場合には、思いもよらぬ原因が潜んでいる場合があります。一度整形外科で相談してみましょう。