インタビュー

核医学検査とは?その3―骨の核医学検査でわかること

核医学検査とは?その3―骨の核医学検査でわかること

日本核医学会

日本核医学技術学会

日本アイソトープ協会

この記事の最終更新は2015年08月12日です。

核医学検査は、骨の検査にもよく用いられます。特に「骨シンチ」という検査は一般的な核医学検査の一つで、多くの骨の病気を診断できると言われています。
また、「ガリウムシンチ」という核医学検査は、がんの疑いや謎の炎症を解明するために必要な検査の一つです。今回は、この2種類の核医学検査について説明します。

本記事は、日本核医学会日本核医学技術学会日本アイソトープ協会の3学会にご監修いただいております。

骨を対象とした核医学検査は「骨シンチ」と呼ばれ、がんが骨に転移していないかを確認する一般的な検査方法です。

骨はその形を維持しながら、常に代謝しています。しかし、骨に異常が発生すると、代謝のバランスが崩れ、骨を作らなくなったり、逆に作りすぎてしまうといった現象が起こります。
骨シンチで用いられる放射性医薬品は、骨の代謝や反応が盛んなところに集まるといった性質があります。この薬品の性質を利用して、骨腫瘍や骨の炎症、骨折などの診断をおこないます。

また、骨の核医学検査は、乳がん肺がん前立腺がんなど各種のがんの治療前や治療後の経過を見る上でも欠かせません。エックス線検査では診断できない骨の異常も、核医学検査ならば早期に見つけることができます。また、スポーツ選手の疲労骨折や、骨粗しょう症に伴う骨折の診断にも役立っています。

骨シンチの検査方法は、「テクネチウム-99m」というアイソトープをつけたリン酸化合物を放射性医薬品として用いて行います。この薬を静脈注射し、約3時間後、骨に十分薬が集まってから画像(シンチグラム)をとります。

午前に注射し、午後から骨の画像を取るケースが一般的ですが、検査は食事とは関係ないので、朝食も昼食もいつも通り摂って問題ありません。ただし、検査直前には、トイレに行き膀胱をからっぽにすることが必要です。
検査時間は約20~40分で終了します。検査中はカメラやベッドがゆっくり動いて、全身の画像をとります。きれいな画像をとるためにも、検査をしている間は体をなるべく動かさないようにしましょう。

ガリウムシンチは、「ガリウム-67」というアイソトープを含んだ放射性医薬品を用いた検査のことを言います。骨シンチは骨が対象であるのに対して、ガリウムシンチは骨以外の部分も対象となる検査です。例えば悪性腫瘍が疑われた時や、炎症の部位がはっきりしない時などに行われることが多いです。

ガリウム-67は、腫瘍や炎症に集まる性質を持っています。その性質を利用することで、腫瘍や炎症がどの部位にあり、どの程度進行が進んでいるかを調べることができます。ガリウムシンチでは、全身の画像(シンチグラム)をとり、薬の体内分布を画像化します。検査結果は、治療法の選択や、治療効果の有無の判定などに利用します。

多くの場合は、放射性医薬品を注射してから、病巣が最も鮮明に見える2~3日後に画像(シンチグラム)を撮影します。食事は普段通りにとって大丈夫ですが、ガリウムは長官から排出されるため、お腹に病気を持っている人は、検査の前日に下剤を飲むことがあります。また、腸をきれいにするために、浣腸をすることもあります。
検査時間は30分~1時間程度です。静かに寝ている間に、ガンマカメラで全身と各部位の画像をとります。この検査により全身の炎症や腫瘍を発見することができます。

※本記事は、日本核医学会、日本核医学技術学会、日本アイソトープ協会による『なぜ核医学検査を受けるの?(pdf)』をもとにしています。

記事1:核医学検査とは?その1―放射性医薬品とは何か
記事2:核医学検査とは?その2―検査の手順と他の検査との違い
記事3:核医学検査とは?その3―骨の核医学検査でわかること
記事4:核医学検査とは?その4―心臓と脳の核医学検査
記事5:核医学検査とは?その5―肺と腎臓の核医学検査
記事6:核医学検査とは?その6―甲状腺と副腎の核医学検査