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インタビュー

MERSとは(3)―MERSの症状と治療、致死率は?

MERSとは(3)―MERSの症状と治療、致死率は?
倉田 毅 先生

国際医療福祉大学塩谷病院 教授/中央検査部部長

倉田 毅 先生

韓国で流行していることが大きなニュースとなっているMERS(Middle East Respiratory Syndrome 中東呼吸器症候群)。耳慣れない病気ですし、とにかく「怖い」というイメージをお持ちの方も多いと思います。実際はどのような病気なのでしょうか。MERSの症状と治療、その後の経過について、国際医療福祉大学教授であり、元国立感染症研究所所長の倉田毅先生にお話をお聞きしました。

主な症状は発熱やせきなどの呼吸器症状です。そのため、風邪やインフルエンザなどと勘違いされがちです。しかし、下痢などの消化器症状を伴うことがあるため、ここに注意してください。下痢はインフルエンザでは基本的にないからです。
SARSのときも下痢の症状が20%近くありました。糞便中にはウイルスが多く含まれるとされており、感染防御においては下痢に着目することが重要です。

重症化リスクが高い人は、高齢者や基礎疾患(何らかの持病)がある人です。この場合には糖尿病COPDを持つ人、免疫不全の方です。
また、MERSは尿中にもウイルスが現れることが判明しつつあります。それゆえ、慢性腎臓病を持つ人に関しても注意が必要です。一方で、MERSに感染しても症状が出現しないこともあるため、一概に感染したら「必ずこの症状が現れる」とは言い切れません。

中東や流行地域(特に今は韓国)からの帰国後に上記のような症状が出て、「MERSのリスクが高いかもしれない」「自分がMERSかもしれない」と思ったらどうすれば良いのでしょうか?
まず、空港でこのような症状があることを必ず告げ、検疫所に相談しましょう。また、家に帰ったあとに自分がMERSかもしれないと思ったら、地域の保健所に電話してください。

MERSへの根本的な治療法はまだありません。対症療法(症状に応じた治療)が行われます。

症状の項でも述べたように、重症化リスクが少なく、若くて健康な人であれば治る可能性も高くなります。一方で、高齢者や基礎疾患を持っている人は治療後の予後(容体の経過)もよくありません。このことは、インフルエンザでも高齢者や乳児が亡くなることがあるように、病気になったときの重症化リスクが大きいか小さいかという一般論と特に変わりはありません。

SARSの致死率は、最初の頃はさらに高い数字が出ていましたが、最終的に9%程度でした。一方MERSの致死率は、韓国でいうと6月10日現在で感染者と死亡者の比率は9%くらいです。ただ、厚生労働省が発表しているように、局所的に言えば40%の致死率というデータも出ています。

MERSの致死率はこれからどうなるか何とも言えないところですが、SARSの経験に基づけば10%台まで下がってくる可能性もあります。
日本ではまだ流行していないMERSですが、個々が前述した予防法を徹底して体調管理に努めておくことは、国レベルの大流行を防ぐことにつながるでしょう。

参考サイト
厚生労働省:中東呼吸器症候群(MERS)に関するQ&A

記事1:MERSとは(1)―MERSの基礎知識
記事2:MERSとは(2)―MERSの感染経路と予防
記事3:MERSとは(3)―MERSの症状と治療、致死率は?
記事4:MERSとは(4)―SARSと韓国におけるMERS流行の経験から考えるべきこと
記事5:MERSのまとめ-感染症の専門家に聞く。

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