記事1『国内の感染症対策を担う国立国際医療研究センター病院の感染症病棟――その特徴と取り組みとは?』では、国立国際医療研究センター病院にある感染症病棟の概要や取り組みについてご説明しました。本記事では、感染症病棟の設備や働いているスタッフについて、国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター センター長である大曲貴夫先生に、引き続きお話を伺いました。
空気感染を防ぐため、病室は隙間なく遮蔽されています。さらに、室外よりも病室内を減圧することで、空気の流れをコントロールしています。そのため、病室内に有毒な細菌やウイルスが蔓延していたとしても、部屋の外に漏れ出すことはありません。
病室から排出された空気は、空気中のゴミやほこりを取り除いて清浄するHEPAフィルタを通してから、外に排気しています。病室から排出された水は、全て煮沸することで無毒化してから下水に流しています。部屋からでたゴミは、高圧蒸気滅菌法を用い滅菌してから廃棄しています。
医療従事者が病室に入るには防護服を着用する必要があるため、容易に出入りすることができません。そのため、病室で患者さんが1人のときに安全に過ごせているかを確認することを目的とした、点滴の落下が確認できるほどの高画質な監視カメラを各病室に設置しています。
エボラ出血熱や、中東呼吸器症候群(MERS)などは、世間的にインパクトがある感染症です。そうした感染症の疑いがある患者さんが入院されると、外から病室を覗こうとする方などがいらっしゃるかもしれません。そうした世間の好奇の目から患者さんを守るため、外からは病室の中が見えないマジックミラーの窓を設置しています。また、患者さんの個人情報が流出しないようにするためにも、細心の注意を払っています。
血液検査などに使用する検体をなるべく病棟外に持ち出さないようにするため、病棟内に臨床検査室があります。指定感染症の検査の場合は、病院外の検査機関で調べていただいていますが、それ以外の検査の場合は、安全に配慮するために病棟内で完結するようにしています。
感染症病棟に常駐しているスタッフは、医師、看護師です。彼らは、「感染症から必ず患者さんを助ける」ことを目指し、医療にあたっています。私の目から見て士気が高く、強い使命感と責任感を持っており、真摯に患者さんと向き合っていると感じています。
患者さんと私たちの安全のために大切なことは、指揮命令系統の順守を前提とした、密なコミュニケーションによる円滑なチームワークを実現することです。そのうえで、経験がない出来事に直面した場合には「患者第一」という考えに基き判断するようにと、スタッフには伝えています。未曾有の事態が発生すると、人はパニックに陥って判断を誤ることがあるかもしれません。そのため、チーム体制を整えるだけではなく、日ごろから判断における優先順位を明確に伝えています。
国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター センター長、AMR臨床リファレンスセンター センター長
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