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国際感染症センターの取り組み――​​よりよい感染症対策のために感染症医ができること

国際感染症センターの取り組み――​​よりよい感染症対策のために感染症医ができること
大曲 貴夫 先生

国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター センター長、AMR臨床リファレンスセンター ...

大曲 貴夫 先生

目次
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国立国際医療研究センター 国際感染症センターは、国内外の感染症に対して、厚生労働省などの行政機関と共に、包括的な取り組みを行っている医療機関です。

国際感染症センターの取り組みや、よりよい感染症医療を目指す感染症医たちが取るべき行動などについて、国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター センター長の大曲貴夫先生にお話をお伺いしました。

国際感染症センターとは、よりよい感染症対策・感染症医療を目指し、感染症に関する研究や情報発信、未来の感染症医療・対策を担う方々の人材育成など、感染症領域に関して包括的な取り組みを行っている機関です。

国際感染症センターでは、以下の4部門を設けています。

  • 感染症内科
  • トラベルクリニック
  • 国際感染症対策室
  • AMR臨床リファレンスセンター

感染症内科は、感染病の診療を行う部門です。トラベルクリニックは、海外渡航者への予防接種、渡航前後の健康管理、診療などを行う部門です。国際感染症対策室は、新興・再興感染症*の現地調査や、診断、治療、医療従事者に向けた研修会や情報提供などを行う部門です。

国際感染症センターは、WHOコラボレーションセンター*に認定されています。新興感染症の発生予防や、感染症発生時の影響を最小限に留めるための活動に尽力し、仮に感染症が集団発生した場合には専門家の派遣などの支援を行うことで、WHOの活動をサポートしています。

*新興・再興感染症……エボラ出血熱MERS中東呼吸器症候群)、新型インフルエンザなどの新しい感染症と、結核デング熱などの再び世界各地で発生している感染症の総称

新興・再興感染症についての詳しい記事は、『新興感染症と再興感染症とは? その種類と問題点』をご覧ください

デング熱についての詳しい記事は、『蚊が媒介するデング熱――​​2016年感染拡大が懸念される感染症と日本での対応』をご覧ください

*WHOコラボレーションセンター……WHO(世界保健機関)の活動プログラムを国際的に展開するために指定される施設

国際感染症センターは、日本国民の方々がより安心・安全に暮らせるよう、よりよい新興・再興感染症対策を目指しています。そのため、厚生労働省が主体となって開催する感染症に関連した検討会などに加わり、感染症病棟*の運用や診療の方法など、感染症医療について議論を重ね、新興・再興感染症に関するルール改訂のお手伝いをしています。

ここでは、実際に国際感染症センターが、厚生労働省と協力して取り組んできたことについてご説明します。

*国立国際医療研究センター病院 感染症病棟の詳しい記事は、記事1『国内の感染症対策を担う国立国際医療研究センター病院の感染症病棟――​​その特徴と取り組みとは?』をご覧ください。

私たち感染症医は、感染症医療に係る法律である「感染症法」に基づいて医療を提供しています。しかし、感染症法は骨格部分であり、実際に感染症医療に携わる現場からすれば、感染症法を肉付けした対応方法などを定める細かなルールが必要です。このルールの構築には、現場の知見が不可欠です。そのため、国際感染症センターのスタッフを厚生労働省 健康局 結核感染症課に派遣するなどして、現場の知見に基づいた実践的なルールの構築を目指しています。

2014年、西アフリカでエボラ出血熱が流行した際に、エボラ対策支援活動のために日本から西アフリカに出向く方々がいらっしゃいました。そうした方々に対し、現地で安全に支援活動を遂行できるよう、感染症の予防対策などをお伝えする出発前研修を実施しました。

私たち感染症医は、患者さんを診療する臨床医としての仕事に加え、感染症対策を遂行するという使命も担っています。それは、病院内に留まらず、地域、都道府県、国、世界といった広い範囲における感染症対策であり、常に高水準を維持した活動を求められています。

感染症対策のレベルを上げるためには、実践的な感染症対策のルールの構築と、またそのルールの継続的な改善が必要だと考えています。そのためには、ルールを制定している行政機関のもとへ現場の声を届けなくてはなりません。国際感染症センターのスタッフだけでなく、全国の感染症医と行政機関がスムーズに連携できるようになれば、行政機関は現在よりも多くの現場の情報を把握することができます。そうすれば、感染症対策の質はさらに向上していくと考えられます。

感染症医療の質を向上させるためには、正しい診療プロセスの明示と徹底を可視化することが重要です。たとえば、「問診だけではなく必要な採血検査を行い、しかるべきところに提出しているか」「病状の変化に合わせて処方箋を適切に変更しているか」など、受診から治療完了までの診療プロセスには数多くのチェックポイントがあります。そうした医療行為の一つひとつが正しく行われているかを確認するルールを制定し、結果を数値化することで、適切な診療を行っている医師を明らかにすることができるようになります。正しい診療プロセスを明示し、そのプロセス通りの診療を遂行しているか否かを可視化することで、医師たちは診療プロセスに基づいた診療を心掛けるでしょう。このように、正しい診療プロセスを明示し徹底することで、医療の質の向上が期待できるのではないでしょうか。

感染症医療に関する知識と経験を、より現場で活かし、さらに多くの患者さんを助けたいと心に秘めている感染症医は多くいらっしゃると思います。その意思を叶えるためには、多くの患者さんの診療に携わることが必要です。そのためには、感染症医以外の医師たちとも密にコミュニケーションを図り、信頼関係を築き上げ、感染症医が他診療科の患者さんの診療に加えてもらえる機会を増やすことです。そうすれば、いずれは感染症医としての知識と経験を活かすことのできる患者さんとの出会いが増え、結果的に多くの患者さんを助けることにつながるでしょう。

外部の方から「国の感染症対策は、感染症医療に従事する皆さんが担ってくれている。感染症病棟は日本の安全の(とりで)」というお言葉をいただくことがあります。そうした会話のなかで、私たちは国内における感染症に対する危機管理を担い、国の安心・安全を守るという大切な役割を果たしているということを再確認すると共に、もっと誇りを持って仕事をしてよいのだとも感じます。感染症医の皆さん、これからも一緒に、日本の感染症医療の質の向上を目指していきましょう。

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  • 国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター センター長、AMR臨床リファレンスセンター センター長

    大曲 貴夫 先生

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