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アルコール性肝障害の治療は食事・禁酒が大事
アルコール性肝障害の治療で最も効果的なのは原則、アルコールを摂取しないことです。しかしその他にも、食事療法や薬物療法、生活習慣の改善など、様々な方向性からアルコール性肝障害を改善するための方法が...
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アルコール性肝障害の治療は食事・禁酒が大事

公開日 2015 年 09 月 03 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

アルコール性肝障害の治療は食事・禁酒が大事
堀江 義則 先生

国際医療福祉大学 臨床医学研究センター 教授 医療法人財団 順和会 山王メディカルセンター 内科部長 慶應義塾大学医学部消化器内科・客員教授

堀江 義則 先生

アルコール性肝障害の治療で最も効果的なのは原則、アルコールを摂取しないことです。しかしその他にも、食事療法や薬物療法、生活習慣の改善など、様々な方向性からアルコール性肝障害を改善するための方法があります。アルコール性肝障害の治療はどのように行われるのでしょうか? 山王メディカルセンター内科部長の堀江義則先生にお話をお聞きしました。

アルコール性肝障害の患者さんにとって禁酒は一番の治療

アルコール性肝障害の治療は、禁酒しなければ始まらないといえるでしょう。図のようにアルコール性肝硬変の経過も、飲酒をするかしないかによって全く変わってきます。

飲酒をやめることによって、脂肪肝が悪化してアルコール性肝炎や肝硬変になるのを防ぐことができます。ただしアルコールを大量に飲み慣れている患者さんにとっていきなり断酒することは容易ではありません。ですから、治療に当たっては医師や治療者がしっかりと精神面も含めたアプローチをとる必要があります。

アルコール性肝硬変の予後と飲酒の影響

アルコール性肝硬変の予後と飲酒の影響

アルコール性肝障害の患者さんは食事内容が治療のポイントとなる

アルコール性肝障害を含め、肝臓病の方にとって食事を見直すことは非常に大切です。
かつては「十分なエネルギー、特にタンパク質を摂取し、安静にする」と言われていたこともありますが、現代の日本人は通常食べている食事がすでに高たんぱくなものです。肝臓に過度な栄養を与えても肝臓の負担が増えて逆効果だということも分かっており、現在は「適正なエネルギーを摂り、バランスの良い食事を心がける。脂肪はむしろ減らす」という風に解釈が変わってきています。つまり、患者さんが摂っている食事の偏りをどれだけ是正できるかが治療のためのポイントとなります。
アルコール性肝障害の方は栄養状態が偏っていることも多いので、不足しがちな栄養素が何なのかを調べてみるのもお勧めです。

脂肪肝の方はアルコールをどれだけ摂取しているか、アルコールと一緒に糖分も過剰摂取していないか(ビールや日本酒にはアルコールと一緒に糖分が含まれます)を計算してみるといいでしょう。ただし糖尿病を合併している患者さんの場合は医師や栄養士とよく相談してから、アルコール飲料の種類や量を決めてください。

薬物治療

禁酒初期は、ビタミンB類などの微量栄養素のサプリメントを投与することがあります。また、アルコールを絶ってからのちに出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)が出るのを防ぐために、ベンゾジアゼピン系(ジアゼパムなど)を服用していただくことも多いです。その他には、肝硬変の患者さんにはアルブミンを補う薬を飲んで頂いたり、重症なアルコール性肝炎の患者さんには副腎皮質ステロイドが投与されることもあります。

その他アルコール性肝障害の患者さんが日常生活でできる注意点

その他下記のポイントも頭に入れておくと、日ごろから病気を改善する効果が期待できます。

  • 十分な運動
  • 早寝早起き(規則正しい生活リズム)
  • 標準体重を維持すること
  • 十分な睡眠
  • 主治医の定期検診をきちんと受ける

などが大切です。

「そんなこと当たり前ではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、アルコール性肝障害を改善するためには、基本的な生活習慣が何よりも重要です。特に最後の「主治医の定期検診をきちんと受ける」は最も重要で大切な注意点と言えます。

アルコール性肝障害の方は基本的に大量飲酒しています。当然、治療に当たっては禁酒が必要です。しかし、アルコールの摂取は患者さんにとって依存的な問題であり、気合や根性ですっぱりやめられるものではないのです。
血液検査をすればその方が大量飲酒をしているか否かはすぐに判明してしまいます。そのため、大量飲酒がやめられない患者さんは、それが発覚して禁酒しなさいと言われるのが嫌で通院を中断してしまうことが非常に多いのです。つまり、あまり勉強していない学生が、どうせテストを受けても赤点だからと言ってテストを受けないのと同じことです。これではアルコール性肝障害を治療することはできません。

私はよく、アルコール性肝障害の患者さんに「赤点でもいいからテストを受けてください」といいます。アルコールがやめられないことは、依存という病気であり、決して恥ずかしいことではありません。きちんと治療を受けてアルコールへの依存を断ち切ることは、体のためにも大切です。ですから、アルコール性肝障害の方はもちろん、現在健康な方も、定期検診で体の調子を日ごろからチェックしておき、医師と相談して飲酒量を決めていくことが何より大事といえます。

慶應義塾大学医学部卒。同大学消化器内科講師・永寿総合病院内科副部長・部長を経て、国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授・慶應義塾大学医学部客員教授。日本アルコール・薬物医学会理事や内閣府アルコール健康障害対策関係者会議委員を務めるなど、消化器分野の豊富な知識と経験をもとに、アルコール性の病変に対して幅広く活躍している。

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