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アルコール性肝障害の診断基準とは?
アルコール性肝障害の診断基準は日本人のアルコール摂取量の増加や他の肝疾患の状況などに伴って作成・改良され、現在の2011年度版に至っています。そこにはアルコール性肝障害を診断するための基準が明記...
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アルコール性肝障害の診断基準とは?

公開日 2015 年 09 月 04 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

アルコール性肝障害の診断基準とは?
堀江 義則 先生

国際医療福祉大学 臨床医学研究センター 教授 医療法人財団 順和会 山王メディカルセンター 内科部長 慶應義塾大学医学部消化器内科・客員教授

堀江 義則 先生

アルコール性肝障害の診断基準は日本人のアルコール摂取量の増加や他の肝疾患の状況などに伴って作成・改良され、現在の2011年度版に至っています。そこにはアルコール性肝障害を診断するための基準が明記されており、患者さんにとって何を改善すればいいのか、どこがアルコール性肝炎を引き起こす原因になっているのかを知る手がかりとなりえます。今回はアルコール性肝炎の診断基準について、アルコール性肝障害の患者さんへのメッセージを含め、山王メディカルセンター内科部長の堀江義則先生にお話をお聞きしました。

「アルコール性肝障害診断基準」とは。アルコール性肝障害診断基準の歴史

アルコール性肝障害診断基準は、アルコール医学生物学研究会(Japanese Society for Biomedical Reseach on Alchol)が執筆・発行しているアルコール性肝障害の診断におけるガイドラインで、最新版は2011年度です。

アルコール性肝障害診断基準は、1950~1970年代にかけて日本人のアルコール消費量が急増したことをきっかけに作成が始まりました。1978年に初めて登場した「アルコール性肝障害の診断基準」では、アルコール性肝線維症は病気として区分されておらず、アルコール性脂肪肝やアルコール性肝炎、アルコール性肝硬変のうちいずれの診断基準にも当てはまらないアルコール性肝障害であると分類されていました。
また、飲酒量においては、毎日日本酒を3合以上なおかつ5年以上の飲酒歴を持つ「常習飲酒家」と、毎日5合以上なおかつ10年以上の飲酒歴を持つ「大酒家」の2つに分けられています。

その後1986年に診断基準の改訂版が発行され、1978年の診断基準に明記されていた3大病型(アルコール性脂肪肝炎・肝炎・肝硬変)のほかにアルコール性肝線維症・慢性肝炎などが加えられました。

さらに、1991年に提示された「アルコール性肝障害の診断基準試案」では、「アルコール性」の概念を「長期(通常は5年以上)に渡る過剰の飲酒が肝障害の主な原因と考えられる病態」と定義しています。そのなかで「アルコール性」は常習飲酒家(日本酒換算で1日平均3合以上)あるいは大酒家(日本酒換算で1日平均5合以上を5日間以上継続)であると定め、女性では飲酒量が約2/3程度でアルコール性肝障害を発症する可能性があることなどが強調されています。ウイルス性肝炎とアルコール性肝障害の合併についても明記されています。

それから20年以上が経過し、ウイルス性肝炎の診断方法や治療の進歩、肥満者の飲酒量に対する考慮などが再検討され、2011年に「JASBRAアルコール性肝障害の診断基準(2011年版)が提案されました。2011年版の診断基準をもとにして、今後、生活習慣病・肥満とアルコール、非アルコール性脂肪性肝炎との関連、アルコール性肝硬変と肝がんの関連などが示されていくことが期待されています。

ガイドラインによるアルコール性肝障害の概念

JASBRAアルコール性肝障害診断基準2011によれば、「アルコール性」とは、「長期(通常は5年以上)にわたる過剰の飲酒が肝障害の原因と考えられる病態」です。
具体的には以下の条件を満たすものを指します。

①過剰の飲酒とは、1日平均純エタノール60g以上の飲酒(常習飲酒家)をいう。ただし、女性やALDH2欠損者では、1日40g程度の飲酒でもアルコール性肝障害を起こしうる。
②禁酒により、血清AST、ALTおよびγ-GTP値が明らかに改善する。
③肝炎ウイルスマーカー、抗ミトコンドリア抗体、抗核抗体がいずれも陰性である。
(JASBRAアルコール性肝障害診断基準2011より引用)

ここに書かれているエタノールとはアルコールのことです。つまり、アルコールを1日60g(ビール中瓶3本分)、女性やお酒に弱い方は1日40g(ビール中瓶2本分)を飲んでいる方が「過剰飲酒」と位置付けられます。また、日常的な健康診断などでAST、ALT、γ-GTPが高値であり、お酒を飲むのをやめたとたんに数値が下がればアルコール性肝障害を疑って良いことになります。
酒類に含まれる純アルコール量の計算も参考にしてください。

堀江先生からアルコール性肝障害の患者さんへメッセージ

アルコール性肝障害の治療は食事・禁酒が大事」でもお話ししましたが、アルコール性肝障害の患者さんにとって最も重要なのは、医師の定期検診を受けることです。定期的に採血を行い、ASTやALT、γ-GTPなどの値が高ければ、飲酒量を見直していく必要があります。

個人の体質によって、アルコールを摂取していい量は異なります。つまり、あなたは何合まで、というのが決まっているのです。毎日3合以上はほとんどの人に体に良くないといえます。しかし、人によっては2合でも体の限界を超えている場合もあります。また、アルコール性肝障害になってしまった人は、体が悲鳴を上げている状態ですから、健康な人と同じ摂取量を続けていては病気を治すことができません。健診で上記の値が高かった方、あるいは自覚症状のある方は、まずは病院を受診し、オーダーメイドでどれぐらいアルコールを制限していくのか、どのくらいの期間断酒するのかなどを相談していくことが大切です。

 

慶應義塾大学医学部卒。同大学消化器内科講師・永寿総合病院内科副部長・部長を経て、国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授・慶應義塾大学医学部客員教授。日本アルコール・薬物医学会理事や内閣府アルコール健康障害対策関係者会議委員を務めるなど、消化器分野の豊富な知識と経験をもとに、アルコール性の病変に対して幅広く活躍している。

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