PET検査とは、特殊なくすりを体内に取り込み、専用の装置で体の状態を画像化して病気を診断する検査法です。PETは検査に必要な3つの要素、陽電子「Positron(ポジトロン)」・放射「Emission(エミッション)」・断層撮影「Tomography(トモグラフィ)」の頭文字をとったもので「ペット」と発音します。この検査の方法としくみを説明していきます。
※本記事は、日本核医学会、日本核医学技術学会、日本アイソトープ協会にご監修いただいております。
※本記事では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法)」上の医薬品であるかどうかにかかわらず、PET検査に使用する放射性薬剤を「くすり」と表現しています。
PET検査は、ポジトロンという放射線を出すくすりを体内に入れ、それがどのように分布(移動や集積)しているかをとらえ、生体機能のはたらきを画像化する検査です。また、X線CT(X線断層撮影法)検査は、体にX線をあててシルエットをとらえ、臓器のかたちを画像化する検査です。これら2つを連結したPET/CT検査は、“はたらき”と“かたち”両者を融合した情報が得られます。PET検査は「ポジトロン断層撮影法」「ポジトロンCT」「陽電子放射断層撮影法」とも呼ばれています。
検査でPET装置がキャッチする放射線を「ポジトロン(陽電子)」と呼びます。ポジトロンはプラス(正)電子のことで、マイナス(負)を帯びている電子と互いに引き寄せ合う性質があります。ポジトロンはすぐに電子と結合しますが、その瞬間に両者とも消滅します。そして、その時に180度正反対の方向へ2本の放射線を放出します。この放出された放射線がPET装置およびPET/CT装置で画像化されるのです。
PET検査は、脳の病気やがん、心臓の検査などに利用されますが、用いるくすりも目的によって異なります。くすりは、検査前の静脈注射のほか、気体状のものをマスクで吸入することもありますし、PET装置の寝台上で投与されることもあります。PET検査はX線CT装置と同様、横に寝かされた状態で行われますが、PET/CT装置の場合も同で、外見ではひとつに見える装置でも内部がPETとCTのふたつの部分に分かれています。
※本記事は、日本核医学会、日本核医学技術学会、日本アイソトープ協会による『PET検査Q&A』(pdf)をもとにしています。