インタビュー

PET検査に用いるくすり―PET検査とは?(2)

PET検査に用いるくすり―PET検査とは?(2)

日本核医学会

日本核医学技術学会

日本アイソトープ協会

この記事の最終更新は2015年11月01日です。

PET検査で使うくすりは処方薬や市販薬とは違い、病気の診断のみに用いられる特殊な薬剤です。また、このくすりには異なる投与方法・検査目的がいくつも存在し、保険適用の有無も異なります。そこで今回は、PET検査におけるくすりの種類や、健康保険の適用について説明いたします。

※本記事は、日本核医学会、日本核医学技術学会、日本アイソトープ協会にご監修いただいております。

※本記事では、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法)薬事法上の医薬品であるかどうかにかかわらず、PET検査に使用する放射性薬剤を「くすり」と表現しています。

PET検査で使うくすりには、放射線を出す物質の「放射性同位元素(ほうしゃせいどういげんそ)」が含まれます。放射性同位元素は、炭素・酸素・窒素などの体を構成している元素なので、酸素や糖など人間の体に関わるものに結びつけることができます。さらに、私たちの体に必要とされている酸素・水・糖・アミノ酸・脂肪酸・核酸の原料・神経伝達物質などにその放射性同位元素を化合させ、くすりが精製されます。つまり、酸素・水・糖・アミノ酸・脂肪酸・核酸の原料・神経伝達物質などが体内をめぐる性質を利用し、その経路や集まる場所がわかるように、ポジトロンを放出する放射性同位元素で目印をつけているのです。

PET検査で最も多く使用されるくすりは、ブドウ糖に似た物質に放射性同位元素(18Fフッ素)が化合された18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)です。体内に取り込むと、がん細胞・脳・心筋などブドウ糖をたくさん消費する場所に集まるので、がん・脳に関わる病気・心臓病などの検査に役立ちます。

上の表のように、PET検査において健康保険の適用があるのは、がん(肺癌・大腸癌など)、心疾患心筋梗塞狭心症心サルコイドーシス)、てんかんの診断を目的とするPET検査です。しかし、早期胃癌や認知症の検査、人間ドックの場合は対象外となります。また、それぞれ保険適用に必要な条件も定められているので、詳細は検査を受ける医師に確認しましょう。

「ポジトロン核種」の半減期(寿命)が短いため、くすりは病院内でつくられます。サイクロトロンという装置でポジトロン核種がつくられ、それを酸素や糖などに標識(目印をつける)してくすりが完成しますが、PET検査に用いられるのは、純度や安全性など品質の試験に合格したものに限ります。つまり、「ポジトロン核種の製造」→「くすりの完成」→「品質検定」という工程です。なお、ポジトロン核種18Fの半減期は約2時間と他に比べ長いので、PET検査で最もよく使われるくすり18F-FDGは病院内製造のほか、製薬会社からも供給されます。

 

※本記事は、日本核医学会、日本核医学技術学会、日本アイソトープ協会による『PET検査Q&A』(pdf)をもとにしています。