しんさるこいどーしす

心サルコイドーシス

心臓

目次

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概要

サルコイドーシスとは、肉芽腫(にくげしゅ)が全身のさまざまな臓器に発生する病気を指します。肉芽腫とは、類上皮細胞やリンパ球などの細胞が集合して生じる結節(こぶのような皮膚の盛り上がり)のことです。サルコイドーシスは肺や眼に発症することもありますが、心サルコイドーシスとは心臓に発症したものをいいます。日本では特に、心サルコイドーシスの病変が、他の人種と比べて多いとの報告があります。

サルコイドーシスは免疫機能の異常により発生すると考えられており、ステロイドを主体とした免疫抑制療法が治療法の一つとなっています。また同時に、心サルコイドーシスでは、心臓に関連した症状への治療も必要になります。心サルコイドーシスは、突然死をきたすこともある非常に重い病気であるため、正確な診断に基づき適切な治療を行うことがとても大切です。

原因

サルコイドーシスにおける肉芽腫は、さまざまな免疫細胞が関わることで形成されると考えられています。心サルコイドーシスにおいても、免疫異常が関係していると考えられています。

また、近年では、心サルコイドーシスで肉芽腫が形成される原因として「Propionibacterium acnes」と呼ばれる細菌の関与が疑われています。この菌はニキビを発生させる菌ですが、サルコイドーシスの肉芽腫の中にも存在する(菌そのものと菌由来のDNAいずれも)ことが知られています。このことから、肉芽腫の形成にPropionibacterium acnesが何かしらの役割を果たしていると考えられています。

その他、心サルコイドーシスには遺伝的な要因も関与していると考えられています。赤血球の血液型には、A型、B型、AB型、O型といった血液型が知られていますが、人の細胞には「HLA型」と呼ばれるものも存在します。ある特定のHLA型をもつ場合には、サルコイドーシスの発症リスクが高まるという報告があります。また、免疫に関与する遺伝子多型(たとえばCCR2遺伝子、NOD1遺伝子など)が発症に関係しているのではないかとも考えられています。

症状

心臓は、正常な電気活動をもとにして収縮・拡張をおこなっており、結果として全身に血液を送り込むポンプとしての役割を持つ臓器です。心サルコイドーシスでは、電気活動が障害されたり、ポンプ機能が障害されたりします。

電気活動が障害された場合には、不整脈の症状が現れます。心サルコイドーシスでは電気活動の障害のされ方に応じて、右脚ブロック、左脚ブロック、完全房室ブロック、心室頻拍、心室細動などさまざまな不整脈が生じる可能性があります。突然死につながりうる心室細動や完全房室ブロックが初発症状となることもあります。

また、心サルコイドーシスでは慢性的に心臓のポンプ機能も障害されるため、心不全の症状を示すこともあります。心不全を発症すると、息切れや呼吸困難、全身のむくみなどを認めるようになります。

サルコイドーシスは、心臓以外の臓器にも認めることがあります。したがって、心臓以外の臓器に関連した症状がみられることがあります。全身性の症状として発熱、寝汗、体重減少などがあります。皮膚のサルコイドーシスでは発疹、眼であればぶどう膜炎(眼のかすみなど)を認めます。肺における病変も多く、呼吸困難や胸痛などを引き起こすことがあります。

検査・診断

心サルコイドーシスでは不整脈や心不全をきたすため、これらを評価するために、心電図や胸部単純レントゲン写真、心エコーなどが行われます。

胸部単純レントゲン写真では、両側肺門部リンパ節腫脹、心臓の拡大や胸水、肺水腫などの病変を確認できます。心エコーでは、心臓の動きや心臓の壁が薄くなっている状況などを評価できます。心不全の程度を数値から評価するために、BNPと呼ばれる物質を血液検査で評価することもあります。

これらの検査だけでは、心サルコイドーシスの診断を確定することはできません。心サルコイドーシスが疑われる場合、心臓MRIが行われますが、MRIの画像では通常の心筋症の造影パターンを取らないという特徴があります。ここで異変に気づくことができた場合は、PETや心臓生検といった次の検査ステップに進み、診断にたどり着きやすくなります。

心筋生検は、心サルコイドーシス診断での証明方法のひとつです。ただし、すべての施設で心臓生検を行っているわけでなく、技術者の熟練度によっても診断の正確性が異なってきます。

治療

心サルコイドーシスの治療では、以下の2つが必要になります。

  • 心サルコイドーシスのもととなる免疫異常に対応した治療
  • 合併症として生じる不整脈や心不全に対応した治療

免疫異常に対応した治療としては、心臓の炎症を抑えることを目的としたステロイド療法が行われます。

心不全や不整脈については、心サルコイドーシス特有の治療法というわけではなく、一般的な心不全や不整脈の治療法を行うことになります。

心不全ではACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体遮断薬、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬などが使用されます。不整脈に対しては、不整脈に対応した抗不整脈薬が検討されたり、症状によっては植込み型除細動器やペースメーカーなどの薬物以外の治療法が選択されたりすることもあります。