
疥癬の予防には一般的な感染症に行う対策だけでなく、ヒゼンダニの生態を理解した上での対応が必要です。疥癬の病態、診断、治療などについて医療従事者だけでなく施設の方、患者さんやその家族などにも十分に理解していただくことが予防対策につながります。今回は疥癬の予防・対策について尾上泰彦先生に教えていただきました。
疥癬の予防においては、疥癬患者さんを見落とすことなく早期診断・治療を行うことが重要です。従って、医療施設、高齢者施設などの集団生活の場で疥癬の患者さんが確認された場合は、まず他に感染者がいないかどうかを確認し、治療を開始します。通常の疥癬では濃厚な接触がなければ感染のリスクは低いといわれています。そのため、集団内で数ヶ月の間に2人以上の疥癬患者さんが認められた場合は、角化型疥癬による集団感染を疑い、発生源である角化型疥癬の患者さんの発見に努めることが重要視されています。
集団発生の原因はさまざまで、感染のリスクはケースによって異なると考えられています。そしてそのリスクを軽減するために負担できる費用と労力の度合いによって、必要な対策は変わってきます。集団発生時の対応に一定の基準はないので、各施設の実情と以下の4点を考慮した上で検討する必要があります。
1)疥癬の感染性は患者さんに寄生しているビゼンダニの虫体数によって異なります。そのため、臨床所見で感染リスクをグレード分けする試みもあります。被接触者側の免疫機能が低下していると感染しやすくなるので特に注意が必要です。
2)初感染者の発症から集団発生が認められ対策を開始するまでの期間が長いほど、集団発生の規模が大きくなります。また、濃厚接触がおこる程度がどの程度かなども、集団発生の規模に関わってきます。
3)集団発生においては感染予防策を指揮するリーダーが必要になります。リーダーは関係者を指揮し、調査を行わねばなりません。また、感染予防策への費用と労力をどのくらい負担するかについても、リーダーが決定する必要があります。
4)角化型疥癬は感染力が強いので、角化型疥癬患者さんは個室で隔離をしないといけない場合もあります。隔離はインフォームドコンセントを得て、期間は最小限に抑えるべきです。
疥癬の予防治療は、保険の適用ではありません。そのため、予防治療を行う際には、予防のメリットおよびデメリットについてインフォームドコンセントを取得して行う必要があります。
予防治療の対象となる方は、主に角化型疥癬患者さんと濃厚接触した方です。予防治療を行うと、たとえ感染していたとしても、潜伏期間中に発症しないまま治癒することが期待できます。
集団内での疥癬の発症率が高く、集団全員に感染している可能性がある場合には、全員に予防治療を行うことがあります。実際に予防治療をおこない集団発生を短期間で抑えた報告もある一方で、イベルメクチンの一斉投与を受けた方が後日疥癬を発症したという報告もあります。予防治療を行う際は、その効果の限界を理解しておく必要があります。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
関連の医療相談が11件あります
太腿、背中でんぶなど少しずつ痒い範囲が広がっている。
病名 カイセンと診断されました。アンフラベート0.05%、内服薬はフェキソフェナジン塩酸塩錠60mgEEを飲んでますが改善しないが、 悪化せず、早く治癒する為に何をしたら良いか 方法を考えて下さい。
海綿腎について教えてください。
お腹が痛く病院に行ったところ、お腹の痛み(胃腸炎でした)とは別に、海綿腎と診断されました。特に今のところ問題はないと言われたのですが、海綿腎がどのようなものか分からず、そもそもどのような病気なのか、何に気を付けるべきなのかを教えてほしいです。
胸椎、腰椎の骨折時の一般的な治療期間について
先週、腰に激痛が出て整形外科にかかりました。 その際はレントゲンでは骨に異常がなくギックリ腰だろうとのことでした。 その後も痛みが引かないため、再度かかったところ、レントゲン、ctで胸椎、腰椎が折れていることが分かりました。 原因は不明なのですが転んでいたのかもしれません。 保存治療になり、今はコルセットができるまでベットで安静にしているところです。 先生からは3週間程度で痛みは改善、骨がくっつくのに3ヶ月と言われています。 質問ですが、このような骨折の場合、どのくらいから一人で生活できるのか、職場への復帰がどのタイミングになるのか気になっています。 (ネットで調べても、高齢者の方の事例が多くよく分かりませんでした) 個人の症状によると思いますので、一般的なご説明で結構です。 担当医と話す前に一般的な情報を知っておきたく、よろしくお願いいたします。
3日微熱とだるさが続きます
3日前より、微熱(37度〜37.2度)とだるさと喉の痛みが続きます。今朝は一旦熱は下がりましたが、夕方にはまた微熱がてでいます。 コロナには2022年の12/27に感染しています。この4ヶ月もたたないうちに再感染はあるのでしょうか。 それとも更年期などの不調でしょうか。 熱の高さの割にだるいが強く感じて夕方には動けなくなります。 市販の風邪薬を飲みましたが、あまり症状は改善されませんでした。病院へ行ったほうがいいでしょうか。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「疥癬」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。