
疥癬はヒゼンダニによる感染症です。疥癬は長時間のスキンシップが感染の原因となるので、性感染症としての側面を持ち合わせています。今回は疥癬の原因・感染経路について臨床経験豊富な尾上泰彦先生に教えていただきます。
疥癬は約1〜2ヶ月の潜伏期間を経ると、皮膚が柔らかい部位に赤い丘疹などの症状が表れます。潜伏期間中はヒゼンダニの数が少ないので、他の人に移す可能性は低いといわれています。 同じヒゼンダニという病原体によって引き起こされる通常疥癬と、角化型疥癬とでは感染力が異なります。角化型疥癬の方が多数のヒゼンダニが寄生しているので、非常に強い感染力を持っています。
通常の疥癬では、患者さんに寄生しているヒゼンダニの数は少ないです。また、ヒゼンダニは乾燥に弱いので、寄生している患者さんから離れて2〜3時間ほど経つと死滅します。そのため短時間の接触や寝具、衣類などを介して感染することはほとんどないです。従って、主な感染経路は人と人との長時間での直接接触であるということができます。具体的な例としては、性行為やスキンシッ プなど、疥癬の患者さんが使った寝具を利用すること、長時間手をつなぐことなどがあります。
角化型疥癬では、約100万〜200万匹ものヒゼンダニが寄生しているといわれています。そのため、角化型疥癬の患者さんから疥癬を移される場合には、1度に多数のヒゼンダニが移るので潜伏期間も4〜5日と非常に短くなることもあります。また、通常疥癬に比べて感染力が強く、肌と肌の直接的な接触以外にも、患者さんから剥がれ落ちた表皮のかけらに接触することにより感染することがあります。そのため、角化型感染の患者さんとの短時間の接触や寝具などを介した間接的接触によって感染が拡大し、集団感染を引き起こすことがあります。
病院、老人福祉施設、障害者施設、養護施設などの集団生活が行われている場所では、角化型疥癬患者さんから集団感染が発生する危険性があります。
1996 年に東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の506カ所の養護老人ホームと特別養護老人ホームで疥癬の集団感染の発生に関してのアンケート調査が行われました。その結果は、疥癬の集団感染が発生したことがある施設は養護老人ホームでは45%、特別養護老人ホームでは79%でした。その多くは10人以下の集団感染の発生でしたが、41人以上の集団感染も5施設ありました。
また、疥癬患者さんの発生が持続した期間については、89%が1〜6ヶ月、8.2%が6ヶ月〜1年、2.6%が1〜2年であり、なかには、2年以上疥癬患者さんが発生した施設もみられました。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
様々な学会と連携し、日々の診療・研究に役立つ医師向けウェビナーを定期配信しています。
情報アップデートの場としてぜひご視聴ください。
関連の医療相談が11件あります
太腿、背中でんぶなど少しずつ痒い範囲が広がっている。
病名 カイセンと診断されました。アンフラベート0.05%、内服薬はフェキソフェナジン塩酸塩錠60mgEEを飲んでますが改善しないが、 悪化せず、早く治癒する為に何をしたら良いか 方法を考えて下さい。
コロナ、インフル等の感染確率
スマホ、バッグの取手、服など外出先で触れた物を帰宅後綺麗な手で触れることができず、いつも消毒してから触れています。コロナ禍がきっかけでコロナに感染するのが怖くなったからです。 実際のところ、消毒しなくても感染することはないと聞きますが、本当でしょうか。それがどうしても信じられません。そして実際に汚れているように感じてしまいます。本当に感染しないのであれば頑張って消毒はしないようにします。精神的に辛いです。教えてください。
前立腺肥大症について治療(投薬・手術・慣れる等)を考えのアドバイスを下さい。
半年前に肺がん(9年前手術)の経過観察でPSA値が高いと指摘され、本日造影MRIを撮影しました。がんに関しては問題ありませんでしたが、画像で前立腺肥大(約5cm)を指摘されました。がん専門の大病院のため、詳細は泌尿器科へ紹介状を出すとの説明を受けました。 「前立腺肥大症」という言葉は聞いたことはありましたが、深く考えたことはなく、少し調べると「前立腺が卵ほどに大きくなり、尿の勢いが弱くなる・頻尿になる」とありました。今日の医師の話では、「尿の出が悪くなれば治療を検討」「頻尿はあまり関係ない」「投薬は一時的な対処で、根治には腹腔鏡手術」「大きくなるかは人それぞれ」とのことでした。 私は還暦を過ぎ、実際に尿の勢いが弱く、夜間も1〜2時間おきにトイレに行きます。ただし、加齢により排尿機能や体力が衰えるのは自然なことと考え、ある程度は受け入れてきました。老眼なら眼鏡を新調すれば済みますが、前立腺の腹腔鏡手術は身体的にも経済的にも負担が大きく、できれば避けたいと感じています。次回は来年2月に再診予定(画像検査なし)です。 AIに相談したところ、以下の回答が得られました。 ・軽症なら経過観察+薬物療法 ・生活に強い支障があれば手術 ・手術後は改善が見込めるが、加齢に伴い再肥大の可能性もある ・治療方針は「生活の質をどの程度改善したいか」で決めるのが現実的 私としては、命に直結しない限り、治療負担や予後の不確実さを考えると手術は避けたい気持ちです。今後の生活において、どのような考え方や対応が望ましいか、アドバイスをいただければ幸いです。
頭痛について
天気が悪い日に、頭痛が起こります。 病院で処方されたカロナールを服薬していますが、改善しません。 薬以外で頭痛が改善するなにか良い方法はないか。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「疥癬」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。