
疥癬の検査でのヒゼンダニの検出率は10〜70%といわれているために、疥癬は診断を下すことは難しい疾患であるといわれています。疥癬の検査や診断はどのように行われるのか、臨床経験豊富な尾上先生に伺いました。
疥癬の検査には、顕微鏡検査とダーモスコピー検査があります。どちらの検査もヒゼンダニを検出することで疥癬を診断します。しかし、通常疥癬ではヒゼ ンダニの数が少なく、検出できるのは10%〜70%のために、医師の検査技術の向上と期間を空けての複数部位の繰り返しの検査が必要となります。
疥癬トンネルや皮膚の隆起している部分から組織片を採取します。採取する方法には、眼科用ハサミで先端を切除して採取する方法、メスで表面を数回こすり採取する方法、小さなピンセットでこそぎ取る方法、拡大鏡で先端を確認しながら注射針でヒゼンダニを採取する方法があります。
採取した検体をスライドガラスにのせて、水酸化カリウム(KOH)をたらしカバーガラスをのせて顕微鏡で100倍に拡大して観察します。このとき虫体、体 部、脚、虫卵、虫卵の抜け殻、糞などを見つけることを目的とします。
ヒゼンダニを効率的に見つけるために、ダーモスコープなどで疥癬トンネルを拡大して検査します。高齢者では手掌のしわの上でY字型の皮疹(水尾徴候: みおちょうこう)にも注意が必要です。
また、角化型疥癬では、虫卵から幼虫、若虫、成虫までのすべての段階での無数のヒゼンダニが寄生しています。そのため、角化型疥癬を疑った場合は、顕微鏡検査で容易に観察することができます。
ダーモスコープによりヒゼンダニを見つけることができた場合にも疥癬と診断します。おおよそ0.4mm×0.3mmの大きさのメスのヒゼンダニは、疥癬トンネルの先端部に、黒褐色の頸体部と前二対の脚、続いてほぼ透明な円形の虫体が観察されます。なお、疥癬におけるダーモスコピー検査は保険適用ではありません。
同じ集団生活の場で2ヶ月以内に2人以上の疥癬患者さんが見つ買った場合、これを疥癬の集団発生と称します。集団発生を確認した場合には、まず感染源を特定する必要があり、集団生活している方々の検査を開始します。そのとき、疥癬患者さんと接触機会があるかどうかも調べる必要があります。
疥癬の診断は、患者さんの症状、顕微鏡検査やダーモスコピー検査などの検査によるヒゼンダニの検出、疥癬患者さんとの接触機会、疥癬患者さんの集団発生などの流行状況の3点を検討して診断します。
顕微鏡検査やダーモスコピー検査などでヒゼンダニを確認することができれば確定診断となります。しかし、これらの検査が陰性の場合にも、患者さんの症状や疥癬患者さんとの接触機会などから疥癬を除外することができない場合には、期間を空けて繰り返し検査を実施します。
通常疥癬ではヒゼンダニの寄生している数は少ないので、確定診断を下すためにヒゼンダニの検出を繰り返し行う必要があります。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
様々な学会と連携し、日々の診療・研究に役立つ医師向けウェビナーを定期配信しています。
情報アップデートの場としてぜひご視聴ください。
関連の医療相談が11件あります
太腿、背中でんぶなど少しずつ痒い範囲が広がっている。
病名 カイセンと診断されました。アンフラベート0.05%、内服薬はフェキソフェナジン塩酸塩錠60mgEEを飲んでますが改善しないが、 悪化せず、早く治癒する為に何をしたら良いか 方法を考えて下さい。
コロナ、インフル等の感染確率
スマホ、バッグの取手、服など外出先で触れた物を帰宅後綺麗な手で触れることができず、いつも消毒してから触れています。コロナ禍がきっかけでコロナに感染するのが怖くなったからです。 実際のところ、消毒しなくても感染することはないと聞きますが、本当でしょうか。それがどうしても信じられません。そして実際に汚れているように感じてしまいます。本当に感染しないのであれば頑張って消毒はしないようにします。精神的に辛いです。教えてください。
前立腺肥大症について治療(投薬・手術・慣れる等)を考えのアドバイスを下さい。
半年前に肺がん(9年前手術)の経過観察でPSA値が高いと指摘され、本日造影MRIを撮影しました。がんに関しては問題ありませんでしたが、画像で前立腺肥大(約5cm)を指摘されました。がん専門の大病院のため、詳細は泌尿器科へ紹介状を出すとの説明を受けました。 「前立腺肥大症」という言葉は聞いたことはありましたが、深く考えたことはなく、少し調べると「前立腺が卵ほどに大きくなり、尿の勢いが弱くなる・頻尿になる」とありました。今日の医師の話では、「尿の出が悪くなれば治療を検討」「頻尿はあまり関係ない」「投薬は一時的な対処で、根治には腹腔鏡手術」「大きくなるかは人それぞれ」とのことでした。 私は還暦を過ぎ、実際に尿の勢いが弱く、夜間も1〜2時間おきにトイレに行きます。ただし、加齢により排尿機能や体力が衰えるのは自然なことと考え、ある程度は受け入れてきました。老眼なら眼鏡を新調すれば済みますが、前立腺の腹腔鏡手術は身体的にも経済的にも負担が大きく、できれば避けたいと感じています。次回は来年2月に再診予定(画像検査なし)です。 AIに相談したところ、以下の回答が得られました。 ・軽症なら経過観察+薬物療法 ・生活に強い支障があれば手術 ・手術後は改善が見込めるが、加齢に伴い再肥大の可能性もある ・治療方針は「生活の質をどの程度改善したいか」で決めるのが現実的 私としては、命に直結しない限り、治療負担や予後の不確実さを考えると手術は避けたい気持ちです。今後の生活において、どのような考え方や対応が望ましいか、アドバイスをいただければ幸いです。
頭痛について
天気が悪い日に、頭痛が起こります。 病院で処方されたカロナールを服薬していますが、改善しません。 薬以外で頭痛が改善するなにか良い方法はないか。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「疥癬」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。