インタビュー

疥癬の治療薬について

疥癬の治療薬について
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2016年01月01日です。

疥癬はヒゼンダニによる感染症です。ヒゼンダニは主に感染者との直接接触でうつります。感染した際は、適切な治療を行わないとパートナーに感染させてしまいます。そのため、医師の指示のもと正しく治療薬を用法・用量を守って使用する必要があります。ここでは疥癬の治療薬についてもう少し詳しくご説明させていただきます。

イベルメクチンは、現在保険適用している唯一の内服薬です。空腹時に 200μg/kgを水とともに1週間間隔で2回服用します。

イベルメクチンを投与すると、ビゼンダニが死滅しかゆみや皮疹が一時的に悪化することがあります。また、滅多にみられませんが、肝機能障害、血小板現象、重い皮膚・粘膜症状などが報告されています。

イベルメクチンは体重が15kg未満の小児に対しての安全性は確立されていません。また奇形の原因となる恐れがあることから、小児と妊婦には禁忌とされています。

フェノトリンは、外用薬の第一選択薬となっています。使用法は、1週間間隔 で1回につき30gを首から下の皮膚に隙間なく塗り、12時間後に洗い流します。 ヒゼンダニを除去するためには、少なくとも2回の塗布が必要です。

副作用には皮膚炎などがあります。毒性は低いので妊婦や小児への治療に期待されていますが、現状では使用経験も少なく安全性は確立されていません。

イオウ外用剤は毒性が低いので、妊婦や小児にも使用することができます。また、保険適用されている外用薬です。使用方法は、イオウ外用剤を全身に隙間なく塗布し、塗布して24時間後に洗い流すことを2~5日間もしくは7日間繰り返します。

イオウ外用剤は、毒性は低いものの皮膚刺激性があり、皮脂欠乏性皮膚炎などの副作用があります。

クロタミトンは保険適用外の薬剤ですが、疥癬の治療薬として使用されています。使用する際は、10%クロタミトンクリームを全身に隙間なく塗布し、24時間後に洗い流すことを10~14日間程続ける必要があります。

熱感、刺激症状、接触性皮膚炎があります。小児では 、頻回に使用することでメトヘモグロビン血症を引き起こしたとの報告もあります。妊婦に対する使用もまだ安全性を確立できていないことから、小児や妊婦の大量もしくは長期にわたる広範囲での使用は控えるべきであるとされています。

安息香酸ベンジルは、特殊調剤として病院内で調整されて使用されます。そのため、患者さんに有効性や副作用などを十分に説明し、同意を文書として受け取った上で使用されます。使用方法には、首から下の皮膚に隙間なく塗布し、24時間後に洗い流すことを2~3日間繰り返して4~5日間休薬、もしくは1日おきに3回など様々な方法があります。

安息香酸ベンジルは、刺激感が強いので眼に入ると結膜炎を引き起こすことがあります。また、中枢神経障害、水疱形成や掻痒感などの副作用があります。そのため、妊婦への使用は控えられ、2歳以下の小児には使用されません。

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