疥癬はヒゼンダニによる感染症です。直接接触が原因であるため、肌と肌が直接触れ合う性行為などで感染することもあり、疥癬は性感染症としての側面も持ち合わせているといえます。
現在、疥癬の治療薬の種類は少なく、その使用は適正に行われる必要があります。疥癬の治療はどのようにして行われるのかを引き続き尾上泰彦先生に教えていただきました。
疥癬の治療は、ヒゼンダニが検出されて疥癬であると確定した患者さんだけでなく、確定診断された患者さんと接触する機会があり、明らかに疥癬の症状を呈している方にも行います。
このとき疥癬の治療薬を長期間や過度に投与すると、耐性を持つヒゼンダニを出現させてしまう恐れがあります。現在、疥癬の治療薬の種類は少ないので、耐性があるヒゼンダニが出現しないように適正に薬剤の投与を行います。
疥癬の治療には、外用療法と内服療法、もしくは両者の併用があります。内服療法で使われている薬剤にはイベルメクチンがあります。外用療法に使われている薬剤には、フェノトリン、イオウ外用剤、クロタミトン、安息香酸ベンジルなどがあります。
そのうち現在保険適用となっている薬剤は、内服薬のイベルメクチン、外用薬のフェノトリン、イオウ外用剤となります。
疥癬の外用薬の治療法は、健常部分を含めた皮膚全体に隙間なくフェノトリン、イオウ外用剤、クロタミトン、安息香酸ベンジルなどの外用薬を塗布することです。現在、第一選択薬として使われているのはフェノトリンです。
フェノトリンは、1週間隔で少なくとも2回使用します。使用の際は1回につき30gを首から下の皮膚に塗り、塗布してから12時間経過後に入浴、シャワー等で洗い流します。しかし、日本では使用経験は少ないので、有効性と安全性などに注意して使用する必要があります。
第2選択薬として、イオン外用剤、クロタミトン、安息香酸ベンジルを使います。なお、安息香酸ベンジルは病院内で調整されている薬剤であり、使用する場合には十分な説明を行った上で同意を文書として受け取り使用することが義務づけられています。
疥癬の内服治療は、イベルメクチン200μg/kgを空腹時に水とともに服用します 。イベルメクチンを投与した1週間後に再度受診してもらいます。検査で再度ヒゼンダニを検出する、もしくは疥癬トンネルなどの疥癬特有の皮疹が新しく認められた際には、イベルメクチンを再度投与します。通常は、イベルメクチンを2回服用すると1ヶ月前後で治癒することが多いです。
疥癬の潜伏期間はおよそ1ヶ月であるので、最後の観察を行った1ヶ月後に治癒判定を行います。治癒判定は、治療中の場合はヒゼンダニを検出することが難しいので、1~2週間隔で2回行い連続してヒゼンダニを検出できず、また新たに 疥癬トンネルが発生していない場合を治癒とします。ただし、疥癬は高齢者を中心に再燃することもあるので、治療後数ヶ月間は観察することが必要となります。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
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肝門部胆管がんステージ4の寛解に向けた今後の治療方法について
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