インタビュー

不眠症とは

不眠症とは
山田  尚登 先生

滋賀医科大学 副学長・ 理事(教育・広報・渉外等)(兼務) 滋賀医科大学 精神医学講座教授

山田  尚登 先生

新幹線運転手の居眠りの原因が睡眠時無呼吸症候群だったことで一躍、この病気への関心が高まりました。睡眠時無呼吸症候群は不眠症を引き起こし、日中にさまざまな障害をもたらします。不眠症について滋賀医科大学精神医学講座教授の山田尚登先生にお話を伺いました。

不眠症の定義

一般的な診断基準として米国睡眠医学会(ICSD-Ⅱ)と米国精神医学会(DSM-V)が広く用いられています

「ICSD-Ⅱ」では不眠症を「睡眠の開始と持続、一定した睡眠時間帯、あるいは眠りの質に繰り返し障害が認められ、眠る時間や機会が適当であるにもかかわらずこうした障害が繰り返し発生して、その結果何らかの昼間の弊害がもたらされる状態」と定義しています。DSM-Vでは、「睡眠の量または質の不満に関する顕著な訴えが、「入眠困難」「睡眠維持困難」「早朝覚醒」の症状のうち一つ以上を伴っている」ことに加え、社会的、職業的、教育的、学業上などの機能低下を伴った場合に不眠症と定義づけています。すなわち、夜間の何らかの睡眠の問題に日中の機能低下が加わった状態を不眠症と定義しているわけです。

「入眠困難」は夜なかなか寝付けないことです。寝るまでに30分から1時間かかる場合がこれにあたります。不眠症の中でも最も訴えの多いものです。

「睡眠維持困難」はいったん眠りについても何度も目が覚めてしまう、目が覚めた後に眠れない場合がこれにあたります。年齢を重ねるとともに眠りが浅くなり目が覚めやすくなります。お年寄りに多くみられるタイプです。

「早朝覚醒」は朝早く目が覚めてしまい、そのまま眠れない場合です。年齢を重ねるとともに体内時計のリズムが前にずれやすく、この症状が出やすくなります。

このほか眠りが浅く、睡眠時間は十分取っているはずなのに熟睡した感じが得られない「熟眠障害」もあります。これらの状態が、少なくとも1週間に3回起こる、3カ月間持続するなど、慢性化していることが不眠症の条件となります。

不眠症の診断基準は?

翌日の日中に支障が及んでいるかどうかです

以上のように睡眠の状態が悪く、なおかつ翌日の日中に疲労を感じたり、集中力が低下したり、気分が優れなかったり、日中眠かったり、社会生活、仕事、学業に支障が及んでいる場合に、不眠症と診断しています。3時間睡眠でも翌日に元気に過ごせれば不眠症ではありませんし、10時間睡眠しても倦怠感が残っていれば、それも不眠症です。

10時間以上眠ることにこだわったアインシュタインにとって8時間睡眠は不眠症ですし、3時間睡眠を続けたといわれるナポレオンは3時間睡眠でも不眠症ではないのです。

ですから睡眠時間の長短によって「不眠症である」とは一概に診断できない側面もあります。

不眠症の検査方法

いくつか種類がありますが代表的なものは「睡眠ポリグラフ検査」と「アクチグラフ」です

「睡眠ポリグラフ検査」は、夜間睡眠の状態を調べることで、夜間睡眠の異常や、日中の眠気の原因を調べます。身体に複数のセンサー類を装着した状態で、一晩眠っている間に計測します。「アクチグラフ」は、腕時計型の加速度センサーを手首に取り付け、連続的に活動量を計測する検査です。睡眠と覚醒のリズムを数週間にわたって調べます。