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睡眠時無呼吸症候群とは

  • #睡眠時無呼吸症候群
  • #脳・神経の病気
  • インタビュー
  • 公開日:2016/04/18
  • 更新日:2016/04/18
睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠障害の中でも最も多いのが睡眠時無呼吸症候群です。加齢とともに増え、高齢者では20%を超えるといわれています。睡眠時無呼吸症候群は心血管疾患などの発症、悪化にもかかわるとの研究報告があります。睡眠時無呼吸症候群がもたらすさまざまなリスクについて、滋賀医科大学精神医学講座教授の山田尚登先生にお話を伺いました。

高齢者では20%超に

滋賀医科大学附属病院には睡眠センターがありますが、そこへ最も多く来るのは睡眠時無呼吸症候群の患者です。その中でも多くを占めるのが閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)です。首やのどのまわりの脂肪沈着や扁桃肥大のほか、舌根(舌の付け根)、口蓋垂などにより、空気の通り道である上気道に十分なスペースがなくなり呼吸が止まってしまう疾患です。

医学的には、気道の空気の流れが10秒以上止まった状態を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸です。

この病気が深刻なのは、寝ている間に生じる無呼吸が、不眠症の記事で挙げたように、日中の活動に様々な影響を及ぼすこと。気付かないうちに日常生活に様々なリスクが生じる可能性があるのです。子どもの少なくとも1~2%、成人の2~15%、高齢者では20%を超える頻度の高い疾患です。

治療法

OSASの代表的な治療法にCPAP(シーパップ:経鼻的持続陽圧呼吸療法)があります。特に中程度~重症の患者さんには一般的な治療法で、保険も適用されています。

CPAP装置からエアチューブを伝い、鼻に装着したマスクから気道へと空気を送り続けることによって気道を開かせ、無呼吸状態を解消する方法です。治療開始直後から熟睡感が得られる、日中の眠気が軽減するなどの効果が得られ、重症の睡眠時無呼吸症候群ほど自覚症状が劇的に改善します。CPAPのほかにオーラルアプライアンスと呼ばれる下顎が前に出る用に設計されたマウスピースを使う方法などもあります。

睡眠時無呼吸症候群と心血管疾患

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、心筋虚血、心筋梗塞、心不全、脂質異常症などの心血管系障害の発症や悪化に関連しています。

例えば、無呼吸低呼吸指数(睡眠1時間あたりの「無呼吸」と「低呼吸」の合計回数)が15以上のOSAS群と0である非OSAS群を比較したところ、OSAS群は高血圧の危険が3倍増加することが報告されています。寝ている間は副交感神経が優位ですが、無呼吸から呼吸を再開するときは脳が起きた状態となり交感神経が働き、血圧が上昇します。このため夜間に血圧が低下する正常型と比較して心血管疾患のリスクが高いことも明らかになっています。このため日本高血圧学会の診療ガイドラインでは睡眠時無呼吸症候群が二次性高血圧(特定される原因があって高血圧を示す状態)の原因疾患の1つに挙げられています。

睡眠時無呼吸症候群のCPAP治療時間と生存率を調べた研究結果では、ひと晩に6時間以上CPAP治療を行った場合の5年生存率は96.4%であるのに対し、1時間未満の場合は85.5%となっています。また死因の41.3%は心臓血管病でした。CPAP治療によって心臓血管死を予防できるというデータも出されています。

 

山田  尚登

山田  尚登先生

滋賀医科大学 附属病院 副病院長(兼務) 滋賀医科大学 精神医学講座教授

厚生労働省 精神保健指定医・精神保健判定医、日本精神神経学会 専門医・指導医、日本睡眠学会 認定医。専門分野は精神医学、睡眠医学、精神科診断学。とくに精神疾患と睡眠障害のかかわりについての臨床・研究においては、日本におけるパイオニアである。

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