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タイプによって異なる睡眠時無呼吸症候群の治療とは?〜適切な治療を受けるために早期受診を〜

タイプによって異なる睡眠時無呼吸症候群の治療とは?〜適切な治療を受けるために早期受診を〜
末松 義弘 先生

国際ハートスリープクリニックつくば 総院長

末松 義弘 先生

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睡眠時無呼吸症候群とは寝ている間に何度も呼吸が止まる病気です。平均して睡眠中に1時間に5回以上、毎回10秒以上呼吸が止まる場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性が疑われます。日本での患者数は約200万~300万人だと考えられていますが、睡眠時無呼吸症候群患者の80~90%は診断につながっていないとされているため、実際にはもっと多いといわれています。その一方、睡眠中に呼吸が止まることによって心臓、脳、血管に負担をかけ、高血圧症脳卒中狭心症心筋梗塞などのリスクも高まるとされているため、早い段階での受診・治療が重要です。

本記事では睡眠時無呼吸症候群のタイプ別に詳しい治療方針を解説します。

睡眠時無呼吸症候群には“閉塞性”と“中枢性”の2つのタイプがあり、それぞれで治療方法が異なります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)とは呼吸をしようとしているにもかかわらず、上気道(鼻から喉まで)のどこかが閉塞していることで呼吸が止まるものです。一方、中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)は呼吸の指示をする脳からの信号が一時的になくなり、呼吸運動がなくなるものです。そのため閉塞性ではいびきが生じるものの、中枢性ではいびきが生じないという違いもあります。

どちらの場合でも呼吸器科、耳鼻咽喉科、精神神経科、循環器科などで診療が可能です。最近は睡眠クリニックなど専門の医療機関もあるので、そういった場所でもよいでしょう。

大まかな治療方針として閉塞性の場合は、減量や呼吸療法、生活習慣の改善など、気道が閉塞する原因を改善する治療を行います。一方中枢性の場合は、基本的に原因となる心不全などの病気の治療を行います。詳しくは次の項から解説していきます。

中等症~重症(無呼吸・低呼吸指数が15以上)の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の場合は、CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)が標準治療となっています。

CPAP療法は夜間に専用のマスクをつけて寝ることで、気道に空気の圧力をかけて舌の根元が沈み込んで気道の閉塞を防ぐという治療です。日本ではポリソムノグラフィー(PSG)で無呼吸・低呼吸指数が20以上の場合、もしくは簡易SAS検査にてAHI40以上の場合、CPAP療法が保険適用となります。

また、軽症の場合は口腔内装置(マウスピース療法)が用いられることもあります。下顎が少し前方に出るようにマウスピースを作成して寝るときに装着する方法です。

下顎が移動することで気道が広くなり、軽症~中等症程度までなら改善が見込める治療法です。歯科にて作成することが可能です。

口腔内や咽頭に形態的な問題があることで上気道をふさいでしまっている場合、特に小児領域では外科療法が効果的です。

その他の外科的手術の報告もありますが、無呼吸が必ず改善するわけではなく、逆に合併症のリスクもあり、CPAP療法やマウスピース療法よりも実施数は少ないといわれています。

そのほか、禁酒、禁煙、肥満の人は減量することによって重症度が下げられると考えられています。また、軽症の場合ではこういった生活習慣の改善によって無呼吸が改善することもあるといわれています。

中枢性睡眠時無呼吸症候群は心不全などの心機能低下や脳卒中といった病気に合併することが多いといわれています。そのため、基本的には背景にある病気の治療が有効となることもあります。

具体的には、薬物療法(慢性心不全の標準治療薬であるカルベジロールなど)、外科的治療、運動療法、食事療法、生活習慣の改善などの指導が行われます。

背景にある病気の治療を行っても睡眠時無呼吸症候群の症状が改善されない場合は、夜間在宅酸素療法(HOT)が行われることもあります。濃度の高い酸素を供給することで交感神経の活発化を抑えて中枢性睡眠時無呼吸症候群を改善するというものです。

睡眠時無呼吸症候群は閉塞性か中枢性かによって治療の方法が異なります。閉塞性の場合、軽症なら生活習慣の改善やマウスピース療法、中等症以上の場合はCPAPを行うことで症状が改善されることがあります。一方、中枢性は原因となる病気の治療が有効とされています。それぞれ治療法が多岐にわたるため担当医と十分相談し、納得したうえで治療に臨むとよいでしょう。

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