しーぱっぷ

CPAP

同義語
持続陽圧呼吸療法,シーパップ,持続気道陽圧療法
最終更新日:
2023年12月19日
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2023/12/19
更新しました
2022/12/20
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医師の方へ

概要

CPAP(シーパップ)療法とは、睡眠時に鼻マスクを着用し、専用の装置で鼻から気道へと圧力をかけた空気を送り込むことにより上気道を広げ、寝ている間に気道が塞がってしまうことを防ぎ、睡眠時も呼吸が維持されるようにする治療方法です。“持続陽圧呼吸療法”と呼ばれることもあります。

人間は眠っているときも呼吸を繰り返しています。しかし、寝ている間に何らかの理由で空気の通り道である上気道が狭くなってしまったり完全に閉塞(へいそく)してしまったりすると、睡眠中の呼吸が繰り返し弱くなったり、止まったりするようになり、眠りの質が大きく低下してしまいます。このような状態を厳密には“閉塞性睡眠時無呼吸症候群”といいますが、睡眠時無呼吸症候群の殆どは閉塞性のため、一般的には“睡眠時無呼吸症候群”と呼びます。

日本には、睡眠時無呼吸症候群の患者がおよそ500万人程度いるといわれていますが、適切な治療を受けられている方は1割程度と考えられています。
 

目的・効果

CPAP療法は、主に中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群の患者に検討されます。治療によって睡眠時に止まりがちであった呼吸が維持されるようになるため、睡眠中のいびきが改善されるほか、睡眠の質の低下によって起こっていた日中の眠気や不注意などによる事故を防ぐこともでき、生活の質全体が向上することも期待できます。

そのほか睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に血液内の酸素が欠乏しやすいため、心臓や脳、血管に負担がかかりやすく、高血圧症脳卒中狭心症心筋梗塞(しんきんこうそく)といった病気のリスクが高まることが分かっています。CPAP療法を行うと、睡眠中の呼吸が安定することによって酸素を十分に取り込めるようになるため、これらの合併症のリスクも軽減できるといわれています。

ただし、CPAP療法で睡眠時無呼吸症候群を根治させることは難しいとされています。患者の状況や病気のタイプにもよりますが、治療を少なくとも毎晩4時間以上継続することによって効果の維持を期待します。
 

種類

CPAP療法の装置には、医師が指定する一定の圧の空気が送り込まれる“固定CPAP装置”と、患者の状態によって機械が自動で空気の圧を調節する“オートCPAP装置”があります。

固定CPAP装置

固定CPAP装置とは、一定の圧力で持続的に空気が送り込まれるCPAP装置のことです。送り込まれる空気の圧力は患者によって異なり、医師が設定した圧力どおりに使用することが大切です。

オートCPAP装置

オートCPAP装置とは、機械が自動で空気の圧力を調節するタイプのCPAP装置です。まず医師が圧力の範囲(上限圧・下限圧)を適切に設定し、設定された圧力の範囲の中で、CPAP装置が送り込む空気の圧力を適切に一晩中自動調節することで、安定した呼吸を得ることができます。気道を閉塞させないために必要な空気の圧力は、一晩の中でも患者が仰向けで寝たり横向きに寝たりすることで変わるうえ、体重の増減や飲酒・喫煙などの生活環境によっても変わります。オートCPAP装置は、そのような患者側の変動にうまく適応できるというメリットがあります。

日本において多くの患者はオートCPAP装置を用いて治療しています。また、オートCPAP装置は、設定次第で固定CPAP装置として使用することも可能です。

リスク

CPAP療法には、命に関わるような重篤な副作用などはありません。ただし、鼻マスクを着用することによる違和感や皮膚のかぶれ、マスクから漏れる空気による就寝時の不快感、鼻や口の乾燥、皮膚や目の違和感などが生じる方もいます。これらのトラブルは自身の鼻の形や肌に合ったマスクを選び、CPAP装置に装着する加温加湿器を併用することなどによってある程度対処できます。

人によってはマスクから送り込まれる空気を飲んでしまい、お腹の張りが生じてしまう方もいます。このような場合には、CPAP装置の圧力設定を調節するなどしてお腹の張りを取り除くことも検討されます。

適応

前述のとおり、CPAP療法は中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群の方に検討されます。睡眠時無呼吸症候群の重症度は、睡眠中に行われる睡眠ポリグラフ検査(PSG)において判断されます。PSGは体にさまざまなセンサーを取り付けた状態で睡眠し、睡眠の質や呼吸状態を評価する検査で、1時間あたりの無呼吸や低呼吸の回数(無呼吸低呼吸指数:AHI)を調べることができます。

AHIが5〜15を軽症、15〜30を中等症、30以上である場合を重症と判断し、重症度に合わせて治療方法を検討します。なお、脳が呼吸をする指令を出さなくなる“中枢性無呼吸症候群(CSAS)”の場合、心不全不整脈など関連する病気があることが多く、先にそちらを治療することが望まれます。その治療後も睡眠時無呼吸症候群が中等症以上となる場合にCPAP療法が検討されます。

CPAP療法を行う基準

以下の全ての項目を満たす場合や、無呼吸低呼吸指数(AHI)が40を超えており自覚症状のある方はCPAP療法が検討されます。

  • 無呼吸低呼吸指数(AHI)が20以上の場合
  • 日中の眠気や目覚めた際の頭痛などの自覚症状があり、日常生活に支障が生じている場合
  • 睡眠ポリグラフ検査(PSG)で睡眠の質の悪化がみられ、CPAP療法によってそれが改善することが明らかな場合

治療の経過

治療開始までの流れ

検査などの結果、CPAP療法を行うことになった場合、患者それぞれに合った鼻マスクを選び、適切なCPAP装置と空気の圧力を設定します。はじめのうちはCPAPを装着して眠ることに慣れなかったり、送り込まれる空気に違和感を覚えたりする場合があります。時間が経っても慣れない、あるいは気になることがある場合には、医師に相談して調整していくことが大切です。

治療の流れ

CPAP療法開始後は、月に1回程度医療機関を受診して、治療効果の確認や治療を続けて行くうえでの問題点の評価をすることが一般的です。なおCPAP療法は根治治療ではなく、治療の継続により症状の改善や合併症を予防するものです。そのため自己判断で中断せず、気になることがあれば医師に相談しながら治療を継続するようにしましょう。

費用の目安

CPAP療法には健康保険が適用されます。毎月の治療費の自己負担額は3割負担の方で1か月4,500円程度、1割負担の方で1か月1,500円程度が目安です。原則的には毎月の医療機関への受診が必要になりますが、患者の状態によっては2か月ごと、3か月ごとの受診間隔も現在では認められています。

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