呼吸器疾患は、合併症が起こると全身に悪影響を及ぼします。COPDの治療の基本は、喫煙者においては、禁煙です。薬物療法は長時間作用型気管支拡張剤が主体です。COPDと睡眠時無呼吸症候群の治療について国際医療福祉大学三田病院呼吸器内科部長望月太一先生に解説していただきます。
COPDの診断がついているものの、気管支喘息の要因の可能性がある場合、明確に否定されるまでは喘息としての治療も併用が好ましいといわれています。
喘息の病態は慢性の気道の炎症性疾患なので、基本的にはステロイド吸入が治療の主体になります。気管内の炎症が改善すれば肺に新鮮な空気が送られ、肺への負担を減らすことができます。治療と並行してさまざまな検査を行いながらCOPDと喘息の鑑別診断をします。COPDの基本的な治療も薬物治療となります。
睡眠時無呼吸症候群のうち、閉塞性睡眠時無呼吸症候と診断された場合、重症度が中等症以上では現在では「CPAP療法」という治療が第一選択となります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候は、睡眠時に上気道のスペースが狭くなり空気が通る十分なスペースがなくなり呼吸が止まってしまう疾患です。そのため、睡眠中にマスクを介し気道内に陽圧をかけ、気道の閉塞を防ぐことにより、無呼吸を取り除く方法です。ただし、軽症であれば歯科医で処方可能なマウスピースを睡眠時に装着するだけで、いびきの解消や気道閉塞が改善することもあります。また、どうしてもいびきがひどい(もともと喉が閉塞しやすい、鼻がつまりやすい)方は、耳鼻咽喉科を受診すべきです。
そのほか、肥満であると睡眠時無呼吸を引き起こしやすいため、必要な方には減量、寝酒の禁止、枕の高さの調整、側臥位寝の推奨など生活指導を行うケースもあります。
三田病院の場合、診断検査のための1泊2日の入院からCPAP圧調整までを含め、治療の総費用は6万円~8万円程度になります。もしCPAPを使用して継続的に在宅治療を行う場合、月1回の外来受診で費用は3割の自己負担の場合で、3000~4000円程度となります。
マウスピース(口腔内装置)は、保険適用になっています。ただし上下が分離する新しいタイプの場合、自費負担になります。はじめは違和感を覚える方も多いですが次第に慣れ、寝起きがよくなったという方もいらっしゃいます。マウスピースは、一度制作すれば安全に簡単に継続的に使用できますので、今までなかなか睡眠時無呼吸の治療に踏み切れなかったという方にもトライしやすいかもしれません。ぜひかかりつけの医師、歯科医師と相談して、自分が無理なく継続的に行える治療法をお選びいただきたいと思います。
国際医療福祉大学医学部呼吸器内科学 准教授、国際医療福祉大学三田病院 呼吸器センター呼吸器内科部長
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