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COPD(慢性閉塞性肺疾患)について〜呼吸器症状がある喫煙者は早めの受診を

COPD(慢性閉塞性肺疾患)について〜呼吸器症状がある喫煙者は早めの受診を
品川 俊治 先生

南砺市民病院 副院長 内科部長 呼吸器センター長 臨床教育・研修センター長 地域リハビリテーシ...

品川 俊治 先生

目次
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喫煙によって発症する「COPD慢性閉塞性肺疾患)」の患者数は、国内に約500万人いると推定されており、非常にありふれた病気といえます。にもかかわらず、COPDで病院にかかっている方は、その中のごく一部です。このような状況に対し品川俊治先生は「病院が主体となってCOPDについて啓発活動を行い、受診者を増やすことが重要」と語ります。

それでは、COPDを発症するとどのような症状や経過を辿るのでしょうか。南砺市民病院の副院長であり内科部長の品川俊治先生にお話を伺いました。

COPD慢性閉塞性肺疾患)とは、主に喫煙によって肺が障害を受け、咳や痰、労作時の息切れなどが現れる病気です。このような呼吸器症状が長期間持続することによって、患者さんのADL(食事やトイレ、入浴や移動などの日常生活上での動作)やQOL(生活の質)は著しく低下してしまいます。

COPDの肺

COPDでは、空気の通り道である「気管支」と、酸素と二酸化炭素のガス交換を行う「肺胞(はいほう)」が障害されてしまいます。厳密に分けられるわけではありませんが、それぞれ、気管支に起こる障害を「慢性気管支炎型」、肺胞に起こる障害を「肺気腫型」と呼びます。

慢性気管支炎型では、気管支に炎症が起きることによって、痰が過剰に分泌されたり(過分泌)、気管支がむくんだりすることで、気管支が狭くなり息が吸いづらくなります。

肺気腫型では、ガス交換を行う肺胞が破壊されるために、血液の酸素飽和度が低下します。また、気道が細くなるため息を吸い込むことはできても吐き出しにくくなります。すると、肺が大きく膨らみっぱなしになる「動的肺過膨張(どうてきはいかぼうちょう)」と呼ばれる状態となります。

動的肺過膨張が起こると、通常呼吸によって上下運動をする横隔膜が下がったままになってしまい、息を吸うことも難しくなります。そして、強い息切れが起こり、浅くて早い呼吸がみられることが特徴です。

COPDの主な症状は、咳や痰、労作時の息切れです。

喫煙習慣のある患者さんは、慢性的にこれらの呼吸症状がみられることが多いため、症状があっても病気だとは思わず、病気が進行してから初めて病院を受診されるケースも少なくありません。一度壊れてしまった肺の構造をもとに戻すことは難しいため、これらの症状を感じたら早めに受診するようにしましょう。

ベッドで寝ている人の手元

COPDが進行して呼吸機能がさらに悪化すると、息が苦しくなるためだんだん体を動かさなくなってきてしまいます。動かない状態が続くと、全身にさまざまな影響を及ぼします。

たとえば、全身の筋力が低下したり、十分な食事を摂らずに栄養状態が悪化したりすることによって「サルコペニア」という状態に陥ることがあります。

そのほか、糖尿病骨粗しょう症うつ病など、一見すると呼吸機能の低下とは関係ないと思われる病気を引き起こすこともあります。

サルコペニア…全身の筋肉量が減少して、筋力が衰えること

COPDの患者さんは、長期間の喫煙習慣があるCOPDの患者さんが多いため、肺がん肺気腫合併肺線維症(はいきしゅがっぺいはいせんいしょう)を合併していることがあります。肺気腫合併肺線維症とは、肺気腫と肺線維症(肺が繊維化によって硬くなる病気)を合併した状態を指します。また、肺気腫合併肺線維症が原因で、肺がんを発症してしまうケースもあります。

そのほか、喘息とCOPDが同時に起こることもあります。これは、「オーバーラップ症候群(ACOS:エイコス)」とも呼ばれ、咳や痰、息切れなどの症状がより重症化しやすい傾向があります。

症状からCOPDが疑われる場合、肺機能検査を行います。肺機能検査では、肺活量や1秒率を調べる検査を行います。

肺活量を調べる検査では、最大限の力で空気を吸い込んだあと、吸い込んだ空気を最後まで吐ききったときの空気の量を調べます。また、空気を吐き出した直後の1秒間でどれだけの量の空気を吐ききれたかを測定し(1秒量)、そこから1秒率を導きます。

1秒率は、肺活量のうち1秒量がどれくらいの比率かで測定され、その比率が70%以下の場合には、COPDを強く疑います。

COPDの検査は、先述した肺機能検査が主な方法ですが、レントゲン検査やCT検査などの画像診断からでもCOPDを推定することが可能です。

COPDの患者さんの肺をレントゲン検査でみてみると、先述した動的肺過膨張によって、胸郭(きょうかく)(胸を取り囲んでいる骨)が大きくなっていることがわかります。また、大きくなった胸郭によって、心臓が圧迫されて小さくなる「敵状心(てきじょうしん)」と呼ばれる状態を確認することもできます。

CT検査では、肺胞の構造が破壊されている様子が確認できます。正常な肺胞は白く写し出されますが、破壊された肺胞は黒く、「気腫性嚢胞(きしゅせいのうほう)」といって、癒合して風船のように膨らんでみえる場合があります。

COPDの検査では、COPDと似た症状が現れるほかの病気ではないかどうかを調べることも重要です。たとえば、喘息と鑑別するためには、気管支拡張剤を吸入していただいたうえで肺活量検査を行います。気管支拡張剤は、喘息の症状を和らげる効果があるため、気管支拡張剤の吸入によって肺活量が改善する場合には、COPDではなく喘息の可能性があります。

また、画像診断によって肺がんなどを合併していないかどうかを調べることも重要です。

COPDの根治治療はなく、壊れてしまった肺の構造をもとの状態に戻すことは困難です。そのため、COPDの治療では薬物治療やリハビリテーション、酸素吸入などによって症状を緩和させたり、進行を抑えたりする治療を行います。

COPDの治療でもっとも大切なことは禁煙です。喫煙が原因であるため、まずは禁煙を徹底していただくように指導します。

禁煙指導を行ってもなかなか煙草がやめられない患者さんには、禁煙補助薬を処方することもあります。

患者さんの症状や重症度(病期)に応じた薬物治療を行います。痰をスムーズに出しやすくする去痰剤(きょたんざい)の内服を基礎として、気管拡張剤の吸入、貼付、内服を組み合わせて治療します。

呼吸法のリハビリテーション

リハビリテーションでは、「口すぼめ呼吸」という呼吸法を指導します。上のイラストのように、鼻から息を吸ったあと、口をすぼめた状態で息を吐き出すことで、気管支が拡張するため、呼吸がしやすくなります。

また、突然の呼吸困難に陥ったときに備えて、呼吸を落ち着かせる方法についてもリハビリテーションで指導します。そのほか、COPDの患者さんの運動機能が低下すると、全身にさまざまな悪影響を及ぼすため、運動療法を行うことも非常に重要です。

COPDの進行によって、息切れが強くなったり、肺の機能が著しく低下していたりする場合には、在宅酸素療法の導入を検討します。在宅酸素療法とは、酸素供給機器からチューブを通して持続的に酸素を吸入することで、体に酸素を取り入れる治療法です。

在宅酸素療法の導入は、必要だと判断された場合にはできるだけ早めに導入することが大切です。なぜなら、COPDは最後まで緩やかな症状経過を辿るのではなく、「急性増悪」といって、ある時点でいきなり肺機能が低下したり、体力が急激に低下したりする特徴があるためです。

急性増悪が起きる前に、呼吸器内科医は在宅酸素療法の導入時期を適切に見極め、COPDの進行を食い止める必要があります。

 

 
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