長期間の喫煙によって肺が障害を受ける“COPD(慢性閉塞性肺疾患)”。国内に500万人以上の患者さんがいると推定されていますが、症状が見逃されてしまうことも多く、診断を受けていない方が多い現状があります。
今回は、横須賀市立うわまち病院 呼吸器内科部長心得である上原 隆志先生に、COPDの原因や症状、検査方法についてお話を伺います。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、主に喫煙によって肺が障害を受ける病気です。
私たちが吸い込んだ空気は、肺にある気管支を通過したあと、肺のもっとも奥にある肺胞に到達します。そして、肺胞で酸素と二酸化炭素のガス交換が行われます。
COPDでは、気管支や肺胞が炎症を起こし、気管支が狭くなったり、肺胞が破壊されたりすることで、空気を取り込みづらくなります。また、肺胞が障害を受けることを“気腫型”、気管支が障害を受けることを“非気腫型”と呼びます。
COPDは、喫煙、過去に喫煙習慣のある40代から増加傾向にあり、60〜70代での発症が多く見られます。
日本をはじめとした先進国におけるCOPDの主な原因は喫煙です。そのため、生活習慣病のひとつと考えられています。
また、海外ではHut Lung症候群が原因となることもあります。“hut”は小屋、“lung”は肺を指します。Hut Lung症候群は、小屋のような狭く閉ざされた空間で家畜の排泄物といったバイオ燃料などを燃やし、その煙を吸入することでCOPDを発症することをいいます。
COPDの代表的な症状として、まず労作時の息切れが挙げられます。たとえば、階段や上り坂が、休憩しながらでないと歩けなくなったりします。
症状が進行するにつれて、平らな道でも息切れを感じるようになります。やがて、それまでと同じような生活を送ることが難しくなります。歩くのがゆっくりになったり、息苦しさからから外出を控えるようになったり、室内で過ごす時間が多くなったりします。
ただし息切れがあったとしても、症状に順応してしまったり、無意識に日常生活の活動に制限をかけてしまったりするために、息切れの症状に気づかない方も多く、普段、自転車や車を使う方の場合、症状に気づくのが遅れることがあります。
咳や痰もCOPDの特徴的な症状です。特に寒い時期に現れやすいです。また、これらの症状は、気管支が障害を受ける非気腫型で多く見られます。病気が進行すると、呼吸の力が弱まり、痰が増えることよりも“痰が絡む”と感じることがあります。
COPDは、息切れや咳、痰といった症状から病院を受診し、診断に至るケースが多いです。中には、COPDの増悪*をきたした段階で、初めて来院される方も少なくありません。
*COPDの増悪:風邪やインフルエンザなどをきっかけに、症状が悪化すること
COPDが疑われる場合、最初に行うのが“肺機能検査”です。肺機能検査では、肺活量や1秒率を調べます。
肺活量とは、思いっきり息を吸い込み、一気に吐いたときの空気の量のことです。そのとき、最初の1秒間に吐き出された空気の量を1秒量といい、肺活量に対する1秒量を1秒率といいます。この1秒率が70%以下の場合には、COPDを強く疑います。
そのほか、6分間でどれだけの距離を歩くことができるかを調べる、6分間歩行試験を行うこともあります。
また必要に応じて、気管支喘息や間質性肺炎といったCOPDと似た病気との区別を行うために、胸部CT*検査などを行います。
*CT:エックス線を使って身体の断面を撮影する検査
横須賀市立うわまち病院 呼吸器内科部長心得
「慢性閉塞性肺疾患」を登録すると、新着の情報をお知らせします
本ページにおける情報は、医師本人の申告に基づいて掲載しております。内容については弊社においても可能な限り配慮しておりますが、最新の情報については公開情報等をご確認いただき、またご自身でお問い合わせいただきますようお願いします。
なお、弊社はいかなる場合にも、掲載された情報の誤り、不正確等にもとづく損害に対して責任を負わないものとします。
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。